スンリのイタズラなKiss 29
「で!・・・・・で・・・・ホテルに泊まって何をしたの?」
お袋・・・・・それをこの場で言わせる気か?
「お母様・・・・・ホテルでする事は一つじゃないですか。私とスンリは同じベッドで眠ったのですよ。」
ソラの奴・・・・・・・オレの事を考えて言ってくれればいいのに、こいつはお袋と同様で気が付かないのか?場の空気が読めていない事に。
親父、何とか言ってくれよ。
「まだ大学生になったばかりなのに・・・・・・オンマが結婚したのだって大学三年よ。それなのに・・・赤ちゃんが出来る事をするなんて・・・・・・」
ギョッとしたのはスンリだけじゃなかった。
ソラもスンリの母の先走った考えに驚いた。
「お母様?私はスンリと一緒のベッドで眠っただけですけど・・・・・・・・」
スンジョはニヤリと笑った。
「ベッド眠ったんでしょ?大丈夫よ、スンリに責任を取らせるから。」
ハニはソラが来るまで、ヘラを思い出していた事をすっかりと忘れていた。
「あの・・・・お母様?言いにくいんですけど・・・・・スンリとはそんな事はしていませんよ。スンリが気持ち悪いからズボンを脱がせて欲しいって言ったんですよ。それも私をお母様と間違えて。」
ソラの説明で笑いをこらえていたスンジョが、我慢しきれずに大きな声で笑い始めた。
「良かったなスンリ。酔って外泊して訳の分からないうちに話が違う方に向かっていたのが修正されて。」
「ああ・・・・」
「これに懲りて、外では酒を飲まない事だな。それじゃぁアッパとオンマは病院に行くから。」
笑いが止まらないスンジョの後ろをハニは小走りに付いて行った。
「おい!ソラ。お前、オレが何かしたかと聞いた時、したって言ったよな。」
「言ったわよ。したでしょ?私にズボンを脱がせた事でしょ?それに・・・一緒のベッドで朝まで眠ったでしょ?・・・はは~ん、さてはエッチな事を考えていたんでしょう。」
まだまだ子供みたいな二人の会話を、大人たちは耳を大きくして吹き出したいのを我慢しながら聞いていた。
30
ソラがペク家に来ると、必ず何か問題が起きる。
スンリが外泊したことはスンリにとって隠しておきたいこと。
それを暴露されては、それをスンリの弱みとして付け入ってくる人物の行動が時限装置の付いた爆弾のようになる。
「お父様、お母様言ってらっしゃいませぇ。」
「あぁ・・・・」
「い・・・行ってきます。」
門の外までスンジョとハニが仕事に行くため見送りにソラは出た。
大袈裟なほどに手を振って見送るソラの横に、スンリではなくスンリの弟のスングとスアが立っていた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃんのお嫁さんになるの?」
ソラの目がキラリと光った。
「誰が言ったの?スンリ?」
スアはふわふわの栗色の髪を小さな手で払いながら頭を横に振った。
「おばあちゃんだよ。おばあちゃんがそう言うと、夢が叶うんだって。」
「そう?」
「そうだよ。アッパとオンマもおばあちゃんがお似合いだって言ったから結婚したの。」
まずスンリより先に、このペク家の一番力がありそうなスンリの祖母グミ。
おばあ様から先に味方に付けないといけないわね。
「双子ちゃんたちお家の中に入りましょ?」
グミだけじゃなく、双子のスングとスアも明るく元気なソラが気にいたようで、小さな手をソラの手に合わせていた。
「ソラ、最近綺麗になったけど、好きな人でも出来たの?」
「ふふ・・・・・・」
「ソ・・・ソラ・・・・・好きな人が出来たのか?」
「ふふ・・・・・出来たの・・・・・・」
父ギョンスはソラの意味ありげな含み笑いに、その場に倒れそうなくらいにショックを受けていた。
「ソラ・・・・・その人はどんな人なの?」
「背が高くて頭がよくてスポーツ万能なの、勿論顔も申し分ないほどの美形なの。」
その話を聞いて、スンジョと似ていると思ったが、独占欲の強いギョンスにしたら、その男が誰であっても同じだ。
家の外まで聞こえる位の大きな泣き声で泣き始めた。
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