スンリのイタズラなKiss 32
「よぉ!スンリ。」
「ソング・・・・・」
ソングはスンリが保育園に通っていた時からの幼馴染。
「新歓の帰り、ワン・ソラとどこに行ったんだよ。」
「どこって・・・・・・」
「見たぞ、二人で入って行くとこ・・・・・」
ソングの口を塞いで、椅子に腰かけさせた。
「お前、オレが酒に弱いのを知っているだろ?」
「知ってるけど・・・・・酒の力を借りたのか?」
「まさか・・・・・・吐いて、そのまま朝まで・・・・・・・寝たんだよ。」
ニヤッとソングは笑って何か言いたそうにしていた。
「期待させるようで悪いけど、眠り込んだんだよ意識を失って。それだけだ・・・後は放っておいてくれ。今日のオレは機嫌が悪いんだ。」
スンリの機嫌が悪いのは、父と母の会話を聞いたからだった。
「スンジョ君、ソラの事を好きでしょ?」
「何を言っているんだよ。バカバカしい・・・」
親父・・・・・ソラと会ったのはあのパーティが最初だよな。
ソラが好き?
親父はお袋一筋で、子どもが7人いる中年の男なのに、モテル事は知っているけど・・・・・ソラが好き?
自分の娘より年の若いソラだぞ。
「バカバカしいって・・・・だって、ソラみたいな女の子がタイプじゃないの。」
「まだ***の時の事を持ち出すのか?何年前の事だよ。」
「そうよ・・・だって・・・私と結婚する前は***だったでしょ?私には意地悪ばかりしているのに、*ラには優しくて・・・・」
「だいたいお前は勝手な思い込みが強すぎるんだよ、難しいオペの後の夜勤で疲れているから少しはオレを休ませてくれよ。」
泣いているお袋を無視して、親父はサッサと布団に入っていた。
背中を向けて眠った親父の傍で、お袋はしゃがんでずっと泣いていた。
ソラがいた時は、多分顔に出さないようにしていたんだろう、ニコニコと・・・・笑ってはいなかったが、普通にもてなしをしていた。
何?何か有ったのか?
ソラはあのパーティで初めて会って、親父のテニス部時代の先輩と友人の娘だと紹介された。
それにオレはまだ認めていないけど、一応ソラはオレの彼女だぞ。
今朝の親父とお袋はオレが知っている限りでは、夫婦喧嘩は初めてだぞ。
バカップルみたいな両親で、天然記念物的に空気の読めないお袋を親父がいつも見守る姿は、オレも将来結婚したらあんな夫婦になりたといと思っていたけど、お袋が興奮して泣いて話しているのを、相手にするのもバカバカしいと思っているように見えた。
何か昔あったのかな?ソラの両親とオレの両親の間。
それでも、クリスマスのあのパーティでの自分の両親とソラの慮信徒の様子からはそうは見えなかった。
スンリは今朝見た両親の姿が頭から離れなかった。
0コメント