スンリのイタズラなKiss 33

普段スンリは講義と講義の間の空いた時間は、図書館で本を読んで時間を過ごしている事が多かった。

今日は昨日の新刊の影響で二日酔いもあり、大学棟と病院の間にある小高い丘にの樹齢何十年もするような銀杏の木の下で寝そべっていた。

ここは小さい頃に、父と母とスンハのまだ4人家族だった頃、3人目を妊娠中の母の検診に付いて来た帰りに、よくピクニックをした場所でもあった。

あの頃はまだ4歳で、パラン大の敷地内にある幼稚園に通っていた。

普通に歩いていても、父も母も常に人の注目を浴びていた。

子供心にも、背が高くて頭のいい父が自慢で、その父はいつもニコニコと笑って自分と姉の世話をしている母を優しい目で見ていた。

だが、今朝の母と父のちょっとした言い争っている時は、母が泣いているのを宥めているわけでもなく、呆れ顔で少し苛立っている父の顔を初めて見た。

大学生になった今だから、仲のいい両親にもお互いに忘れる事の出来ない過去があってもそれは普通だと思っている。

「ねえねえ・・・・知ってる?」

誰も来ないと思っていた場所に、自分の嫌いなタイプの女子数人が来た。

その女の子たちは、スンリがそこにいる事に気が付いていなかった。

場所を移ろうとした時に聞こえて来た言葉に、もう少しその話を聞いてみたくなった。

「医学部のペク教授って、ペク・スンリのお父さんなのよね。」

「そうそう、そっくりよね。で・・・・・お姉さんは医学部6年のペク・スンハでしょ?」

おい・・・お前ら1年だろう。医学部6年のスンハを呼び捨てか?

「羨ましいよね、美男美女の家系で・・・・・でもさ・・・奥さんって、パランの落ちこぼれなんだってね。」

幼い頃から母が大好きなスンリにしたら、自分の母が落ちこぼれと全く知らない人から言われるのは気分のいいものではなかった。

「奥さんがすごくペク教授を追い掛け回していたって・・・・・その所為でテハン大の面接を受ける事が出来なくてパランに来たんだって。」

「どうして、そんな古い事を知っているの?」

「だって、うちのママはペク教授と同じクラスだったから教えてもらったのよ。何か奥さんの実家が、震度二の地震で引っ越した日に崩壊して、親の親友だって事で高校3年から同居したんだって。」

全くどこからそんなプライベートな情報が噴き出すんだ?

くだらない話など聞く価値もないが、人の噂話は噂にすぎないが、案外本当の事を言っている事もある。

「どんな事情が知らないけど、婚約者がいたペク先生をその婚約者から奪って結婚したんだって。」

「嘘・・・・・・酷い奥さんだわ。」

お袋が婚約者のいる親父と結婚。

疑うはずのない事だが、一瞬今朝見た父の冷たい顔に、母の泣いていた姿をまた思い出していた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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