スンリのイタズラなKiss 38
ソラと別れてからのスンリは人が変わったようだった。
ハニもスンジョもそしてグミも、最近のスンリの行動を心配していた。
「今日、帰らないから。」
「また?最近、外泊が多くない?」
「放っておいてくれないか?子供じゃないんだから。」
大学にもきちんと行っているし、成績もトップで問題はないが、どこかに心が行っているようで、何を考えているのかさっぱりハニには判らなかった。
「スンジョ君、最近スンリったら、不機嫌で外泊ばっかで・・・・・・どうしちゃったのか・・・・・」
「大人になったんだろう?
オレもあの頃に一人暮らしをしたいと言って家を出たからな。」
外泊ばかりではなかった。
スンハからの情報で、スンリは大学内でいつも違った女の子といる事が多く、そのほとんどがあまりいい噂のない女の子ばかりだと言っていた。
「スンジョ君・・・・今日は医学部で講義があったよね。スンリの様子を見に行ってくれる?」
「小学生じゃないのだから、あまり口うるさくするなよ。スンリは相手がどうでも、間違いを起こす事はないから。」
スンジョは読んでいた新聞を置き腕時計を見て、大学に行くために玄関を出て行った。
「どうしたのよハニちゃん。スンリはまた外泊なの?」
「そうなんです。ソラちゃんと別れたと言ってから、もうずいぶん経つのにいろんな女の子と付き合っているみたいなんです。どうしちゃったのかしら・・・・・・・」
「スンリの様子を見に行かない?変装していればスンジョにもスンリにも見つからないわ。」
「だめですよぉ。私は仕事があるし、スンジョ君に小学生じゃないのだからと言われたしそんな事出来ませんよ。」
小さい頃から、ハニが大好きなスンリはハニを心配掛けない子供だった。
ソラと別れた原因を聞いても、何も言わずただ一言。
「お袋が悲しむ言はしない。」
そう言うだけだった。
大学に入ってからのスンリは、傍にいつもソラがいたから誰もスンリと付き合いたいとは言う事はなかった。
ソラと別れたと言う噂があっと言う間に広がると、我先にと女の子たちがスンリに近づいていた。
スンリ自身ソラの事を嫌いで別れた訳ではなかったから、何か自分をどん底に落とさないと忘れる言が出来ないような気分だった。
「ねぇ・・・・・うちに来ない?」
「この間行ってやっただろう。まだ気が済まないのか?」
一晩過ごすと、もうその子とは二度目はなかった。
ソラの様に明るくて元気な女の子はハニに似ていて好きだが、ソラの親と自分の親の間に昔何かあったのだろうかと気づかなければよかったと思った。
「よぉ、スンリ。最近どうしたんだよ。」
「別に・・・・楽しい大学生活を満喫しているんだよ。」
「そっか・・・・・・そう言えば前に付き合っていたソラ・・・ワン・ソラ、見合いするらしいぞ。」
「見合い?まだ学生だぞ。」
ソラが見合いをすると聞いて、胸が締め付けられ頭が真っ白になった。
「アイツん家、オリエントコーポレーションだろ?どこかの財閥の子息と金銭絡みで見合いをするみたいだ。」
「古臭いな、いまどき政略結婚か!金に心を動かすような男にはオレはなりたくないな。」
「お前ん家は、オレの所みたいにサラリーマンじゃないから知らないだろうが、この不景気じゃいくら財閥でも資金繰りとか大変で、政略結婚はあたり前みたいだぞ。」
「ふぅ~ん、オレには関係ない。」
「関係あるよ。ほら!これ・・・・・」
真新しい封筒から取り出された一枚の写真。
スンリはそこに写っているソラとどこか財閥の見合いの席での写真を見て、複雑な思いが沸き上がって来た。
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