スンリのイタズラなKiss 40
「会いたい・・・・会いたいよスンリ・・・・」
スンリに別れを告げられてから、ソラは自分なりに両親とスンリの両親との過去を調べた。
父ギョンスは母ヘラ一筋で、スンリの両親とはテニス部の先輩というだけで、何の関わりもなかった。
オリエントコーポレーションの相談役でもあるソラの大おじい様から持ち出された見合いの話に、気乗りしないが今は誰とも交際をしていないのだから断る子とも出来なかった。
「ソラ、支度は出来た?」
「ママ・・・・・・・」
着替えが終わって少しでもお見合いの席に行く時間稼ぎをしていたソラを迎えにヘラが様子を見に来た。
「可愛いわ、私の娘ソラ。」
「ママ・・・・・まだお見合いはしたくない。」
ヘラも祖父から見合い話が持ち上がるたびに、なんだかんだと理由を付けて断って来たが、ソラは気が強い割にユン家の唯一人の後継者という事が心にあり見合い話を断りきれなかった。
「あなたはパパに似ているのよね・・・・・・嫌だと思っても断れない・・・・・・失恋しても吹っ切れないあなたの気持ちも分かるわ。」
「えっ?ママでも失恋した事があるの?」
「あるわよ。もうずっと昔の事だけど・・・・・その時の心の傷を癒してくれたのがパパだったのよ。」
「ママを振った人はどんな人なの?」
『誰にも言わないでね』と、ヘラは娘にそう言って、遠い昔に初めて恋をして初めて失恋をした時の話をした。
「その人はね、ママと考えが似ているから、お互いに気が合ったわ。頭脳明晰でいつも冷静・・・本当に理想の人だった。でもね、その彼が欠けているものが一つだけあったの。」
「完璧なのに欠けているものがあるって・・・・・・」
「それはね、人を思いやる事。それはママにも欠けていたものだけど、それを隠してママとお見合いをしたのよ。」
「当然、断ったのよね。だってパパと結婚して私が産まれたのだから。」
「そう、心を隠してお見合いをしても幸せは来ないわ。その人はママとお見合いをして暫くはお付き合いをしていたのだけど、心がここにないままお見合いをしても誰も幸せにはなれないのよ。今日は会うだけでいいから、家に帰ったらママから大おじい様に伝えるから。」
「ねえ・・・・・そのお見合いの相手って・・・・・・・スンリのパパ?」
「そうよ、どうして?」
ママが言おうとしないから、私はそれが誰なのか確信できた。
ママが認めるくらいに素敵な人は、スンリのパパしかいない。
だからスンリのママは私を見ると悲しそうな顔をするんだ
スンリは外見からは判らないけど、家族をとても好きな人だから、自分の家族が悲しむ事になるのなら、自分の恋を終わらせる事とが出来るとソラは知っていた。
<会いたい・・・・・オレもソラに会いたい。>
「どこにいるの?」
<今は、バイト中だから明日学校で会おう。>
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