スンリのイタズラなKiss 47
オレ・・・・ソラのお父さんに敵視されているような気がする。
一時もオレから視線を外さず、睨みつけられている。
「あの・・・・ソラのお父さん。」
「ほ?な・・・何だね・・・・・」
「オレの顔・・・・・・変ですか?」
「へっ?」
一瞬、ワン家のリビングはシィーンとなった。
「や・・・・は・・・・・な・・・・」
「何を言っているのよ。‘ほ’だとか‘へ’・・・・‘や’・・・・‘は’・・・・‘な’っとしか言わなくて、パパ変よ。」
「ソラ、パパはスンリにあなたを取られてしまうんじゃないかって・・・フフ、朝から落ち着かなかったのよ。」
ソラのお母さんの言う事も判るし、ソラのお父さんの言う事も判る気がする。
スンハがファン・インスンを連れて家に来た時、あの冷静でいつも表情を変えた事のない親父が、あの夜は珍しく酒の量が多かったな・・・・・・。
オレも調子に乗って、弟たちに余計な事を吹き込んだ。
その結果・・・・・・・クスッ
「どうかしたのか?ス・・・・スンジョ・・じゃなくてスンリ。」
「いえ・・・・姉が彼氏を連れて来た時の父の様子を思い出しまして・・・・・・つい・・・・」
「知りたいわ。あなたのお父様の学生時代は、表情もなくて冷たい人だと周囲に言われていたから・・・・・ただ、あなたのお母様の前では違っていたけど。」
「そうだな・・・・スンジョの弱みを知っているのはオレとヘラだけだと思うけど、君も知っているみたいだな。」
「そりゃ・・・・・父の一番の弱みは母ですが、姉のスンハと妹のスンミとスアは特別みたいですよ。」
それ以上の事は言わない方が、親父のイメージも崩れないだろう。
まさか、ここでスングとスアが産まれる経緯(いきさつ)まで話したら、テニス部の先輩でもあるソラのお父さんにそこを突っ込まれそうだ。
「娘は可愛いからなぁ・・・・・どうだ?うちのソラは美人だろ?」
「パパァ!」
「はあ・・・オレは顔で彼女を選んだのじゃないし、美人だとかそうじゃないとかは関係ないですし、心の綺麗な人は表情に現れますからね。」
「そ・・・そうだよな・・・お前の母親も美人ではないし・・・・・・テッ」
ムッとしたオレの顔がソラに判ったのか、ソラは机の下で父親の足をどうやら思いっきり蹴とばしたみたいだった。
ここで、オレが<お袋の笑顔は誰にも負けません!>と言ったらどうなるか。
このソラの父親と喧嘩などしたくない。
「ところで、スンリはテニス部には行っていないのか?」
「特別部員で試合に出るだけでいいので・・・・行きたい時に行ってます。」
「顔もそっくりなら待遇も同じなんだなスンジョに。」
「はぁ・・・・・」
ソラの父親は、親父に何か恨みがあるのか、棘のある言い方をする。
「ペク家の家族は早婚だけど、まさかあなたまで大学在学中にソラと結婚をすると言うんじゃないのかって・・・・・主人が気にしているんです。」
「将来の事はまだ決められないですが、親の援助で生活をするのじゃなく、自分で稼いだお金で生活が出来るまでは絶対に結婚はしないです。その相手がまだソラとは決めていないので。」
「うちの可愛いソラを弄ぶのか?」
「パパ!」「あなた」
「違いますよ。ソラとはこの先どうなるのかも分からないのに、結婚しますとかは軽はずみに言えないでしょう。ソラがオレを捨てるかもしれないじゃないですか。弄ぶって言われても、真剣に付き合おうと決めてからまだひと月も過ぎていません。」
あたり前の事を目上の人にこんな風に言ってもいいのか気になった。
ソラの父ギョンスの顔が見る見るうちに赤くなるのと反対に、スンリは顔色を変えずに堂々としていた。
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