スンリのイタズラなKiss 52
「ソラの母親との関係?」
「何かあったんだろ?」
「別に・・・ただの友人だ。2年まで同じ理工学部で勉強をして、テニス部だっただけの知り合いだ。」
スンジョはヘラとの事をスンリに話す気持ちはなかった。
自分の人生で一度だけ判断を間違えた、ヘラとの金銭絡みの見合い。
「別に・・・・って、オレはもう子供じゃないんだ。お袋は、ソラが家に来た時一度も視線を上げなかった。顔は笑っていたけど、目は涙を浮かべていた。」
「何が言いたいんだ?」
親父の声が初めて聞くくらい低くて冷たい声で、手足が震えるくらいに怖くなった。
でも、オレがこれからもソラと一緒にいるためには聞かないといけない。
今はソラと喧嘩をしているが、このまま終わりにしたくない。
ソラと会わない時に知りたい親父とお袋の過去。
「親父・・・・・ソラのお母さんと浮気したのか?」
「オレが浮気?」
「ソラのお父さんは異常なほどに、ソラとソラのお母さんに対して独占欲があるし、オレを見るソラのお父さんの目に敵視されているし。オレの外見は親父とそっくりだから・・・・・・・何がおかしいんだよ。」
最初はクスッと笑ったスンジョだが、スンリの話を聞いているうちに、笑いをこらえる事が出来なくなって来た。
「いや・・・・・・お前の・・その発想がハニとあまりにも似ていて・・・・・・」
「オレの発想のどこが、お袋と似ているんだよ。」
「オレはハニ以外の女には興味はないし、オンマ以外に好きになった女はいない。」
躊躇する事なく言った言葉に、子供のスンリは父親の告白にどうリアクションをしていいのか判らなかった。
「ソラの母親とは考えが似ているから、よく話をしたりしたくらいで、特別な感情はない。つまらない事を考えていると、ソラとは仲直りするタイミングを逃すぞ。」
「な・・・・・何を・・・・」
「ソラと喧嘩したんだろ?」
「はっ!はは・・・・何で・・・・何で知っているんだよ。」
スンジョはコーヒーを飲んで、またパソコンに向かった。
「スンリがどこにも寄らずに家に帰って来たからな。」
家族全員の行動がすべて頭にインプットされているような父親に、スンリはこの父親に毎回からかわれている母の姿を頭に思い浮かべた。
「親が浮気をするように子供に思われていたのには、オレはショックだな。」
ショックとは言っても笑っている事が判るくらい、さっきの冷たい言葉とは違ういつもと同じ親父に戻っていた。
親父が隠しているのなら、お袋に聞くしかないが、お袋は親父自慢しかしないからいつか機会があったら、それとなく聞いてみようと思った。
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