スンリのイタズラなKiss 54
法学部の教室の入っている棟の入り口で、ソラを待つスンリを女子学生たちが囁き合って見ていた。
天才ペク・スンジョの7人いる子供の一人だという事は誰もが知っている。
父親譲りの頭脳とビジュアルという事も、スンリを注目しているひとつの理由でもあるが、一番は先日のソラとの構内での大喧嘩。
何をやってるんだよ、ソラの奴。
早く来てくれないと、注目の的だろう。
「医学部のペク・スンリ君?」
「そうだけど・・・・君は?」
「私、法学部のワン・ソラに頼まれて来たんですけど。」
その学生から一枚のメモを貰った。
<A棟103号>
「なに?これ・・・・・」
「ソラ・・・・・・入院したんです。」
その学生は、ソラからもしオレが法学部まで来たら、このメモを渡してくれと頼まれていたらしい。
A棟・・・・A棟の103号・・・・・
パラン大病院は両親の勤め先で、スンリや家族が病気になった時に来ているが、入院病棟には来た事がなかった。
「あら!ペク先生の息子さんじゃないですか?」
スンリはかけられた声の方を振り向くと、病院関係者のイベントで面識のある外科の看護師長だった。
「お父様をお探しですか?お母様ですか?」
「いえ・・・・・友人がA棟103号に入院しているので見舞いに行こうと思って。」
「オリエントコーポレーションのユン会長の曾孫さんの部屋ですね。」
外科の看護師長は、ソラの入院している個室に行くために乗るエレベーターの場所を教えてくれた。
103号は財界著名人の入院のために使われる部屋。
勿論、ハンダイの一族であるスンリ達家族も使う事が出来る。
「ありがとうございます。場所は母が出産で入院している場所なので分かるのですが、工事点検中でどう行こうか迷っていました。勤務時間で忙しいのにすみません。」
「とんでもないです。」
看護師長に挨拶をして、スンリはソラの病室に向かった。
個室のドアをノックする時に、ソラがどんな状況なのか知るのが怖く感じた。
覚悟を決めたように大きく深呼吸をして静かにノックをした。
「ハァーイ、ドォーゾォー」
意外と元気そうなと言うより、元気なソラの声が聞こえた。
声を聞いた時、安心したと同時になぜか急にムカついた。
「おい!ソラ!脅しかよ!」
怒り気味に話しながらドアを開けると、天井から足をつったソラが照れくさそうにスンリの方を見ていた。
「酔っぱらって、階段から落ちゃった!」
0コメント