スンリのイタズラなKiss 55
「酔っぱらって階段から落ちた?」
「うん・・・・飲み過ぎて・・・・・・」
「いつ・・」
「スンリと喧嘩したその日の夜。」
だからメールも何も来なかったのか。
「で、どうしてオレに連絡をして来なかったんだ?」
連絡出来るわけないじゃない、この冷徹鈍感男!
この私が人前であんなに派手に喧嘩したのに、スンリとメールしたり出来ると思ってるの?
「お前・・・もしかして、オレが折れると思ってるのか?」
「は・・はは・・・・・」
「がっかりだよ。ソラはオレのどこが良くて付き合ってたんだ?そこらのバカな女みたいに、ペク・スンジョの息子だからとか、ハンダイ一族の人間とか、そんな外見ばかりで付き合ってたのかよ。」
「スンリ・・・・・・・」
「オレも人を見る目がなかったな。オレは親父と同じ外科医になるのが目標で夢なんだ。それをソラは知っていると思っていたし、ソラは頭もいいしオレをサポートしてくれると思っていた。それに、オレと初めて会った時の事も覚えているから、講義旅行に行っても何も言わないと思ってたけどな。」
長い髪の毛で隠れていたソラの顔が上がって、スンリの方を向いた。
黙って聞いていたと思っていたソラは泣いていた。
「ごめんね・・・ごめんね・・・・・みんなと同じように、クリスマスパーティに行ってスンリの彼女だって、披露してほしかった。みんな、オリエントコーポレーションという名前で避けて本当に何でも話せる友達がいなかったから、模試でもテニスの大会でも目立っていたスンリとスンリのおじさんの会社のクリスマスパーティで出会った時に、なんだか自分に似ているからこの人となら友達、ううん彼氏になってもらって付き合いたいなって思ったの。」
「ちょっとだけ我儘も言いたかったし、少しくらいスンリは遊んでも勉強なんてすぐに追いつけると思ってたから・・・・・・ごめんね・・・・・ごめんね・・・」
ソラは普通の学生と同じように、クリスマスをスンリと祝いたかっただけ。
ただそれが、学生の友達同士のパーティではなく、富裕層が集まるハンダイのパーティでスンリと一緒に行きたかったと言う普通の女の子の考えを夢見ていただけ。
「今年はたまたまおじさんの会社のパーティと重なったけど、どうせパーティ好きなおばあちゃんが言い出すはずだから、春におじさんの結婚10周年記念パーティをやるはずだからそれにソラを誘うよ。春は新学年になったばかりだから講義旅行や大切な講義とかは無いから。だから機嫌を直して、オレを気持ちよく講義旅行に行かせてくれよ。」
ソラはただ我儘を言っただけ。
大学に入ってスンリと付き合うまで、信用できる友人はいなかった。
幼い頃から、自分の後ろにあるオリエントコーポレーションがいつも邪魔をして、生活レベルが違うと言われて避けられていた。
スンリが好きになったのは、スンリも自分と同じように模試の時にいつもそばに同級生がいても、同級生と心を開いていない事に気が付いたから。
スンリもソラと同じように、父の存在が大きく重荷になっていたのは事実だった。
「スンリ、講義旅行で浮気しないでよ。」
「するわけないだろ。バ~カ。」
ソラの頬に流れた涙の後をスンリはそっと指でなぞった。
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