スンリのイタズラなKiss 62
今朝からスンリは落ち着かなかった。
自分の事でもないのに、こんなに結果が気になった時はない。
「落ち着かないのか?」
「うん・・・・・・」
スンジョはニヤッと笑って、ハニが持って来たマグカップを受け取った。
ニヤニヤと笑っているスンジョを、ハニは不思議そうな顔をして見ていた。
「親父・・・・・・・・」
「ん?」
「済州島のあのコンドミニアム・・・・・いや・・いい・・・・・」
言い出しては口をつぐんでいるスンリに、スンジョはピンと来た。
こんな所はハニとよく似ているから、スンリの考えている事くらいお見通しだ。
「書斎の机の右の引き出しに青い名刺ケースがある、プライベート用の名刺だから見ても大丈夫だ。」
スンリはビックリして父の顔を見た。
「受かるさ。スンハやおばあちゃんには言うんじゃないぞ、煩わしくなるから。」
「どうして・・・・・・」
「お前はオンマに似ている所があるからな、顔に出てるぞ。 ソラと行くんだろう?オンマにだけは話をしておけよ。」
親父ありがとう。
スンジョはスンリとソラが一緒に旅行をするつもりだと言う事にすぐに気が付いた。
本来なら、まだ学生の二人が旅行をしたいと言ったら、反対をするべきだろうがペク家はそんな事を気にする家でもなかった。
何しろスンジョもハニもあのファン・グミに色々と企てられた経験もあり、一番大きな出来事はスンハの計画妊娠疑惑。
計画妊娠疑惑とは・・・・・・実はスンジョにスンハがインスンとの交際を認めてもらう為に、スンハペースで進められた計画。
産婦人科の医師になりたいスンハにしたら、この計画はどうって事ない計画で、妊娠したからインスンとの結婚を父に告白をした。
それにはハニも関わっていたが、その案を出したのはスンジョにとっては一番厄介な関門のファン・グミ。
この先スンリとソラはどうなるのかは分からないが、グミに入られたら後に引けなくなると思い、スンリが計画を立てている事にスンジョは協力をした。
スンリ、お前は父の様に予想もしない早い結婚をしないように協力する。
子供の人生は子供自身で決めればいい。
悩んで助けを求めて来たら、父はお前に手を貸してやろう。
少し離れてリビングのソファーに座っているスンリの携帯が鳴った。
離れていてもスンジョの声に聞こえて来た。
ニヤッと笑って視線を本に戻したスンジョの顔を、ハニはどうしたのだろうと言う顔をしてスンリの顔と見比べた。
<スンリ!受かったよ!受かったよ!>
「おめでとう、ソラ。」
スンリはそのまま、少しソラと話をしたらさっきまでの思い込んだ顔から、陽が射したように明るい顔でスンジョとハニに声を掛けて家を出て行った。
「スンリ・・・どうかしたの?」
「さぁな、巣立つのはもう直ぐかな。」
「酢橘?」
「子供が親の作った巣の中で守られて育っていたけど、自分の足で歩き始めるようだよ。」
「どういう事か分からない。」
「あと少しでハニにも分かるさ。」
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