スンリのイタズラなKiss 66
おい・・・追いかけてこないのかソラ。
もうすぐ駅に着くじゃないか。
「待って・・・・・待ってよスンリ・・・・・」
ほらな、来ると思ったよ。
ソラの手がスンリの腕を掴んだ。
本当は、スンリはソラを抱きしめてこう言いたい。
_________ごめん、オレが言い過ぎたよ。バイトして婚約指輪を買うから、それまでは我慢してほしい。
笑顔でソラにそう言うつもりだが、スンリは母に性格は似ていても、父の遺伝子も引き継いでいる。
「考え直してもいいけどな。物で釣られるような女なら、この先もずっと続くから。」
「考え直さないで、パパにお金を借りるからそれで婚約指輪を買って。ママはダメだけど、パパなら私のお願いならすぐにお金を貸してくれるから。」
コイツ・・・・・・何も分かっていないじゃないか。
「どうしても指輪が欲しいか?」
「欲しい!」
「なら買ってやるよ。」
「本当?」
何だよ、さっきまでのしおらしい態度と全然違うじゃないか。
「大学を休学して、バイトをすれば資金も貯まる。オリエントコーポレーションの令嬢に見合うデッカイダイヤの指輪を買ってやるよ。」
「ス・・・・スンリ・・・・そ・・・」
「一年休学するから結婚は三年後だな。」
半分オレは自棄になっているのか?確かにソラと結婚したいが、こんな言い方って・・・・・・親父に似ているな。
思ってもいないのに恩着せがましく言って、オレ名義の貯金から出せば買える。
彼女の父親に借りるくらいなら、自分名義の貯金から金を引き出すよ。
「三年後は嫌・・・・・すぐにでも結婚したいけど・・・・・休学しないで。ごめんね・・・・ママが嫌いな事なのに・・・・・物で心を動かしてはいけないって言っていたのに・・・指輪は、スンリが大学を出てからでいいよ。だから、私の事を許して。」
コイツは母親はともかく父親に甘やかされて育って来たから、自分がこうすれは相手がどうするのかよく知っているみたいだ。
それならそれでオレが好きなようにも出来るって事がこれでわかった。
親父がお袋を自分の色にしたように、オレもソラをオレの色にしていけばいい。
親父がお袋をからかって楽しんでいる気持ちがこれでよくわかったよ。
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