スンリのイタズラなKiss 68
空港の待ち合わせ場所で待っていると、異様に大きなキャリーバックを引いてくる一人の細身の女の子がいた。
「アイツ・・・何をあんなに持って来てるんだ?たった二泊三日だぞ。」
「お待たせ!スンリ・・荷物はそれだけ?」
「お前の方こそ何をそんなに持って来たんだ?」
フフ・・・と何か含みのある笑いをするソラのキャリーバックをスンリは受け取った。
「荷物を預けるよ。」
「なんだか新婚旅行みたいね。」
「プレハネムーンのつもりだけど?」
ソラの廻して来た腕が、スンリはいつもと違って感じた。
この手はいつか結婚したらオレをサポートしてくれるだろう腕だ。
不思議な気がする。
数日前にプロポーズをしたからなのか、ソラが愛しくて仕方がない。
「シートベルトは大丈夫ですね?」
CAは一人一人の乗客のベルトのチェックをしていた。
「スンリ?ペク・スンリ?」
顔を上げると、高校時代にラブレターをくれた相手だ。
「先輩?」
その時は挨拶だけをしたが『仕事中だからまたね』と、挨拶をしただけだったが、それがソラには気に入らなかった。
「この部屋?」
「親父の名前で部屋を取れたんだぞ。」
綺麗だ・・景色がいいだとか部屋が気に入っただとか言っているソラは、オレの緊張など知らないのだろうな。
「スンリ・・・・どうして両親の過去を知りたいの?触れられたくない過去だってあると思うけど、それをどうして私と一緒の旅行に決めたのよ。」
「ソラはどうしてオレの両親の過去の事を知っているんだ?」
「ママに聞いたの・・・・」
ソラのあの完璧すぎる母は親父と似ていて、もしかしたらこの二人は本当に結婚したらお似合いだと言われたのだろうなと思った。
「昔、スンリのお姉さんが産まれるよりももっと前に、スンリのお父さんと私のママに共通の過去があるの。」
「共通の過去?」
「ママがスンリのお父さんの事が好きだったのを聞いたのよ。それとね・・・・・」
言いにくそうにしているソラは、スンリの真剣な目を避けるように背中を向けた。
「私のママと婚約していたの。」
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