スンリのイタズラなKiss 70
「ちょっと、ロビーに行って来る。」
「どうしたの?」
荷解きをしていたソラは、考え込んでいたスンリがいきなり立ち上がって部屋を出て行こうとした事で手を止めた。
「パソコンを借りて来るよ。」
「ここまで来て、何をするのよ。」
「検索するんだよ。昔、ソラの家のオリエントコーポレーションと、おじさんのハンダイとの間に何があったのか。今は、普通に取引先という関係だけど、この事を知らないと何の蟠り(わだかまり)もなく、うちの家族とソラの家族が付き合っていくために、オレ達が何とかしないと。」
ソラはスンリが過去の事を調べて傷つかなければいいと思っていた。
「言えないよね、私はママから本当は全部聞いていた事。スンリのお父さんがお母さんの事を本当はずっと好きだったのに、自分の感情表現が苦手な事を利用して、その想いを閉じ込めてお金の為に私のママとお見合いをした事を。そんな事を知ったらきっとスンリみたいに真面目な人は、大好きなお父さんを軽蔑しちゃうね。」
手をギュッと握って傷ついた時のスンリを思い、ソラは戻って来るのを待つ間気が重かった。
「古いパソコンしか空いてなかったけど、メンテはしているから・・・・それにしても・・・なんて検索したらいいのか・・・・・・ハンダイの危機?・・・・・いや・・・・危機というほどでもないだろう・・・・親父は事件や事故とは何の縁もなさそうな人物だからな・・・あっ・・・」
急にパソコンのキーを叩く音が聞こえなくなり、ソラはスンリが何かに気が付いた事を知った。
「どうしたの?」
「・・・・・・・」
「ねぇ、どうしたのよ・・・・」
知っている事を隠しているから、ソラはスンリが何を見つけたのか気になった。
「ハンダイのこの30年の業績を見ていたんだ・・・・この時、急に売り上げが上がっているのがおかしいような気がする。おじいさんがシーズン制のゲームを発案した時よりも大幅に売り上げが上がっているんだよ。確か・・・・この頃って親父たちは大学3年になった時だ・・・・この時のおじいさんの秘書は・・・・・定年退職して、田舎に帰ったと聞いた。」
「田舎って、どこなの?」
「済州島だ。時々家族でこっちに来た時に、親父が連絡をすると会いに来てくれるんだよ。でも今回は親父が連絡をしていないから、こっちから会いに行くしかないな。」
ソラはドキドキとしていた心臓が更に大きく打っている気がした。
「ソラ、一緒に会いにいかないか?]
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