スンリのイタズラなKiss 77
「許さん!」
「済んでしまった事は仕方がないじゃないの。」
「一泊したって事は・・・・ナニを・・ナニしたんだよな?」
「まぁ、そうでしょうね。健康な男の子なら、好きな女の子と一泊するなら、そうなるのが普通ね。」
「ナニの意味が、ママには分かるのか?」
「親を騙して行くのだから、目的は一つでしょう。」
『ぅわぁ~、ソラが傷物になったぁ~』
大声で泣くギョンスは、ヘラの膝に顔を伏せて外では見せられない姿で泣いていた。
「パパ!恥ずかしいから大きな声で泣かないでよ。」
ギョンスとヘラが声のする方を見ると、そこにはソラとスンリが立っていた。
ギョンスの手が壁に立てかけられたラケットの方に伸びた。
「この!ペク・スンジョの亡霊め!ヘラを弄んだだけじゃ飽き足らず、可愛い娘を傷物にして・・・・」
「あなた、バカな事を言ったりしないでよく見なさいよ、ペク・スンジョじゃなくて、息子のスンリ君じゃないの!」
「パパ!止めて!」
ギョンスが振り上げたラケットから逃げようとしないスンリの前に、庇うようにソラが飛び出した。
「バシッ!」
ヘラは目を瞑って、顔を背けた。
ソラの悲鳴もなければ、スンリが怪我をした様子もなく、恐る恐るヘラは3人の方に目を開けてしっかりと見た。
ラケットはスンリに当たらず、ソラの頭上でスンリが止めていた。
ヘラは大きく安心したように息を吐いて、ギョンスの持っているラケットを取り上げた。
「パパ!将来の婿に何をするのよ!」
「将来の婿?」
「お義父さん、お義母さん。」
スンリはソラの両親の目をしっかりと見て頭下げた。
「お話があります。」
ラケットを妻に取り上げられたギョンスは、さっきまでの様子とは正反対に大人しく大柄な体が力を無くし首がしな垂れ小さくなっていた。
ヘラは可愛い娘の左の薬指にはめられた指輪を見て、スンリとソラに笑顔を向けた。
「あちらに座って話しましょうね。パパ、ソラの荷物を部屋に片付けてあげて。」
「はい・・・・・・・」
スンリはソラの父の様子がおかしくなり、思わずクスッと笑ってしまった。
ジロリと見られたが、さっきまでの勢いが消えたからなのか、苦手だが上手く付き合うコツさえつかめられれば、思ったよりも面倒でもないかもしれないと感じた。
夫と並んで座り、正面に娘がピッタリとスンリにくっついて座っている姿を見て、若いころに叶わなかったスンジョとの結婚が娘で実現出来たように思えた。
「お茶でも飲んで・・・・・・・どうして、ソラに嘘を吐かせて、旅行に行って来たの?」
早々に、旅行に行った事を聞かれたが、スンリにしたら想定内の事だ。
「父と母・・・・・それにお義母さんの昔の事を知るためです。」
「私とあなたの両親の事?」
「はい・・・・」
「それは、30年位前に終った事よ。何もかも終ったから、あなたの両親が結婚して、あなたがいるのよ。」
「それは判っていますが、オレとソラが結婚するために知りたいので。」
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