スンリのイタズラなKiss 78
「けけけけっけ・・・けけけ・・・・・」
「あなたはちょっと静かにしていてください。」
「はい・・・・・」
「母とソラとは、オレの母と祖母のような関係になって欲しいので、そのためには父たちとの過去を解決したいので。」
ヘラは、どうしたらいいのかというようにため息を吐いた。
「私の中ではもう過去の事になっているけど、うちの人も多少気にしているけど、スンリのお母さんが一番引きずっているのね。」
「さすが、よく判りますね。」
「ハニは相変わらずなのね。スンリとソラにハッキリ言うわ。」
スンリとソラはヘラの話す言葉を、聞こうと二人は手をギュッと握り合った。
「確かにスンリのお父さんの事は好きだったわ。でもね、私はプライドが高いの。出会った頃からスンリのお父さんはお母さんの事を好きだったわ。ただね・・・・・・・クスッ」
「ただ?」
「ペク・スンジョという人は、人を愛した事がなかったのよ。だから、オ・ハニの事が好きだと言う気持ちに気が付いていなくて、スンリのおじい様の会社が大変な時に、私の祖父・・・・ソラの曽祖父が政略結婚を持ちかけて来たの。スンリのお父さんもプライドが高い人なのに、会社を救うために好きな女の子を捨ててもお金の為に私と結婚しようとしたの。それもはっきりと言ったのよ<お金の為>って・・・・さすがの私も結構傷ついた言葉だけど、それでもスンリのお父さんの事が好きだったから、心でこう思ったの・・・・・・
<ハニ、私は政略結婚でスンジョを自分の物にしたわ。これも運命だと思って諦めてね>
「ママ・・・・・それはひどいよ・・・・」
「確かに酷い女だったわ。好きな男性(ひと)を例え金銭絡みでも自分の方に向けさせた事は。形振り構わなかったのよ、スンリのお父さんもそうだけど、それまでの人生一度も負けた事がなかったから。でもね・・・・スンリのお父さんが意外と早く、閉じ込めた心を介抱させてしまったわ。何があって、愛を選んだのかは知らないけど、最初から縁がなかったのだと思うわ。結局は、人の愛の方が強かったのよ。ハニと出会う前のスンジョなら、何も考えずに私と結婚したわ。」
「今でも父の事は好きですか?」
「過去の事よ。私は、去って行った人は追いかけないから。それに今はこの人を愛しているわ。地位や名声・・・・外見ではなく、私の心を好きになってくれたワン・ギョンスが一番好きよ。」
妻に子供の前で告白されたギョンスは、さっきまでとは打って変わって片想いの少年のように顔を赤くしていた。
「で・・・・・いつ結婚をするの?ペク家は早婚でしょ?あなたのおばあ様が聞いたらすぐにきっと動くわ。」
「両親には言いますが、おばあちゃんは運がいい事に、撮影旅行に行っているので・・・・・・オレが大学を卒業したら、ソラと結婚します。」
ソラの両親にはっきりと結婚の意思を示した姿は、まるで若い頃のスンジョのように堂々としていた。
「結局・・うちの娘を・・・・無垢だった娘を・・・ペク家のこの息子が・・・・・。」
妻の長い爪が食い込むほど、夫は痛みをこらえて将来の婿に恨み節を吐いていた。
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