スンリのイタズラなKiss 79
「親父、お袋、ただいま。」
「あら!もう一日行って来るんじゃなかった?」
「予定が変わって・・・・・・・」
「そう、荷物を部屋に置いて着替えて来たら?」
何も気が付いていないハニと、何か言いたい事を感じているスンジョ。
「親父とお袋に話があるんだけど、今少し時間はあるかな・・・・・」
スンジョは持っていた本を横に置き、ハニは何だろうと言う顔をして、スンジョの横に座った。
スンリはこうして並んでいる両親の昔の経緯(いきさつ)を知って、運命に逆らわず結婚してくれてよかったと思った。
「ねえ・・・・・旅行はソラちゃんと一緒だったんでしょ?エッチなことしなかったでしょうね。」
スンジョはクスッと笑って、ハニの膝を叩いた。
「心に決めたのか?」
「分かるか?」
「そりゃあ、同じ男だからな。」
「何?なんなの?スンジョ君もスンリと同じで、もしかして私と結婚する前はエッチな事を想像していたの?」
「さぁな・・・・・・・・スンリ、その他にも話したい事があるんだろ?」
さすが親父はすごい。
オレが何のために済州島のあのホテルにした理由に気が付いている。
「ソラと結婚する事にした。一日早く帰ったのは、ソラのお父さんたちに一緒に行った事がバレタから。一晩同じベッドで寝た事も話して来たし・・・・・・ソラとは結婚したいと言う気持ちも伝えて来た。」
「えっ!同じベッドで寝たって・・・・・・・赤ちゃんが出来たの?」
スンジョとスンリは同時に吹き出して笑ってしまった。
「お袋、そこはちゃんとしてるよ。結婚するのはオレが医学部を出てから。だから、この事はこの家では親父とお袋とオレだけの秘密にしてほしい。」
「どうして?どうして、おめでたい事なのに、秘密なの?」
「おばあちゃんの、先走った行動に困った経験はオレとハニにもあるだろう?」
30年も前の事をハニは思い出して、手で口元を隠した。
勉強の事や仕事の事は結構すぐに忘れてしまうが、スンジョに関する事は何年経ってもハニは忘れる事はない。
一人で結婚宣言をスンジョがしてから、新婚旅行の時までの事を思い出して、我が息子のスンリの結婚宣言は頭の片隅に追いやられていた。
「で、どうして済州島にしたのかもう話してくれてもいいんじゃないか?」
スンジョとスンリの話に現実に戻されたハニは、二人の表情を不思議そうに見ていた。
「ソン・・・・・ソンさんに会って来た。それで、30年前の親父たちの話を聞いた。」
スンジョはスンリの言いたい事が分かったのか、隣に座っているハニの手をギュッと握った。
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