明日はまだ何もない明日(スンミ) 6
「スンミ、今のこの時代ではなく、生まれ変わっていつの日か幸せになるための出会いが、今なのかもしれないしそうではないかもしれない。先生は妻も子もあるし、君はまだ高校生だ。人との縁はその時が来たら、きっと何も障害がなく結ばれる。」
「先生・・・・でも・・私・・・・」
「先生がキスをしてしまったから、君は恩師としての尊敬の気持ちが恋愛と同じだと勘違いしたかもしれない。今は先生もスンミへの想いが本当でも、君の気持ちを受け入れられないし結婚しているからどうにもならない。誤解をさせて申し訳ないけれど、もう帰るよ。幼児クラスの子供たちのレッスンもあるから。」
スンミは先生の腕を離したくなかった。
人として相手のいる人を奪うような恋をしてしまったら、父に叱られると判っている。
「誰にも言わないし、何も望まないから。先生の事を好きでいさせて・・・・・・・」
「帰るよ・・・・・・今日の幼児クラスのレッスンは、カナダ公演のDVD鑑賞だから、スンミは休んでもいいよ。期末テストもあるのだろ?」
先生が帰って行く。
私が好きだと言ったのがいけないの?
先生は私をオンマと重ねているだけなの?
「ただいま・・・スンミどうかしたの?」
先生が帰った後、姉のスンハがリビングに入って来た事も気が付かずにいた。
「お姉さん・・・・」
「寝るね・・・夜勤明けの後、急患が運ばれて・・・・・フワァ~眠っ・・・・・・インハの迎えは、スンリが行ってくれるからスンミは気にしなくてもいいよ。」
産婦人科医として勤務している姉は、祖母のグミとよく似て活動的だ。
それと比べると、自分は身体も弱く誰からも当てにされていない。
インハの迎えだって、私にだって出来るけど、アッパがそれをさせてくれない。
「お姉さん・・・・・お姉さんの初恋って・・・インスン義兄さんだよね。」
「そうだよ。ペク家は初恋の人と結婚するみたいね。おばあちゃんとおじいちゃんも初恋同士だし、アッパとオンマもそうだし・・・・あっ!スンリは違うみたいよ。内緒だよソラに。スンリは高校生の時、付き合っていた子がいたみたいだけど・・・どこまで進んだのかな?一泊旅行しているみたいだから・・・したのかもね・・・・・でも、どうしてそんな事を聞くの?」
眠そうにしていたスンハも、妹が何かを悩んでいる事に気が付いて二階に上がりかけたが、リビングまで戻って来た。
「だれか好きな人がいるの?」
「お姉さん・・・・・」
「スンミの場合、アッパが許さないかもね。兄弟の中であなただけ特別みたいだもの。オンマとよく似ているのもあるけど、この家でアッパが取り上げたのがスンミだから。きっとオンマの次にスンミが好きよ。」
そう、私はこの家で早産で産まれた。
家族全員で産まれた時にいてくれた。
お姉さんもお兄さんも、私が産まれた瞬間を見ているし。お姉さんが産婦人科医になりたいと思ったのは、私がオンマのお腹に出来てから産まれるまで、ずっとその経過をアッパと見ていたから。
「お姉さんはインスン義兄さんと付き合うってアッパにどうやって言ったの?」
「あれ?スンミ知らなかった?」
「知らないよ。だって、お姉さんが結婚する時はまだ小学生だったから。」
「待ってて、濃いコーヒーを淹れてくるから。アッパとオンマにはまだ話せない話みたいね。私の部屋に行っていて。」
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