明日はまだ何もない明日(スンミ) 13
スンジョは、運転をしながらギテの話した事を考えていた。
「サンは、オレ以上に真剣な気持ちだった。」
ジュングが高1の時からずっとハニの事が好きだったのは誰もが知る事。
サンも、ハニが高1の時から好きだった。
オレの姿をいつも見ていたハニの事を、またサンも見ていたし、海外の大学に行っていた四年間も思い続けていた・・・・・
「参ったな・・・・・ハニが今日一緒に来なくて良かったよ。先輩の言うように、ハニにそっくりなスンミを見れば、別にそれが本人じゃなくても気持ちが揺れるな。幼い頃よりスンミの成長を見ていれば、ハニへの想いもまた再熱する。今のスンミは、あの頃のハニと親のオレが見てもそっくりだから。」
_____ 目的地周辺です。現地の交通事情に従って運転してください・・・・・・・
ナビの音声でバレエ教室近くのパーキングに車を停めた。
大きなビルではないが、入り口はセキュリティがしっかりしていて、生徒が訪れる時間外には自動ドアが開かなかった。
エアコンの室外機が動いているから、中に人がいる事は判る。
入り口近くに有るインターフォンをスンジョは押した。
「せ・・・先生・・・・誰か来たみたい・・・・・」
スンミは、サンの身体から少し離れた。
「大丈夫・・・・下に事務の人がいるから・・・少し休むから誰もここに上げるなと言ってあるよ。」
スンミの乱れた着衣。
また二人は唇を合わせた。
「はい・・・」
インターフォンを押して暫くすると、事務所の中から人が出て来た。
背に他界スラッとし手いるスンジョに事務所の人は不信感もなくロックを外して開けた。
「ペクと言いますが・・・」
「ペク?・・・・・あっ!スンミちゃんのお父様ですか?」
名字を言っただけであっさりと中に入れてもらい、レッスン場の中を見るがサンらしい人物どころか誰もそこにはいなかった。
「今日、スンミちゃんは夕方に来ると聞いていますけど・・・・」
「スンミではなく、ユン・サン先生にお会いしたいのですが。」
「先生は三階の部屋で休んでいて、誰も来ないようにとおっしゃって・・・・・あっ、でもスンミちゃんのお父様でしたら直ぐに携帯に掛けてみます。」
事務員は、首をかしげながら何度も電話を掛けているが繋がらないようだ。
「電話が繋がらないのです・・・・・・・もしかしたらOffにして休んでいるのかもしれません。」
一日でも早く会ってスンミに会わないようにしたい。
スンハと違ってスンミはオレやハニを困らせたりはしないけど、追い詰められたら解らない。
「直接上に行ってみます。」
事務の人に直接上に行けるエレベーターを聞き乗り込むと、これがエレベーターかとスンジョは思った。
「荷物運搬用・・・・か・・・」
スンジョはエレベーターが停まり、開いたドアから見えた≪倉庫≫と書かれた一つのドアを見てクスッと笑った。
廊下側のガラスはカーテンが引かれその向こう側に人が動いているように見える影が映っていた。
何だ、起きているのか。
ノックを1回2回とするが、何の返事もない。
耳を澄ますが、こちらに歩いて来る様子もない。
聞こえるのはスプリングの軋むような音。
まさか・・スンミ・・・・
ゆっくりとドアノブを回すと‘カチャリ’と音がした。
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