明日はまだ何もない明日(スンミ) 16
「スンジョ君・・・・冗談は言わないでよ。スンハがバレエを習っていた頃から何度も顔を合わせていたけど、そんな感じはなかったよ。」
「そりゃ、高校生の子供じゃないから、顔に出すわけないだろう。」
「幼い頃からお前とよく似ていたスンミが、成長して高校時代にお前を見かけた頃とよく似て来て、ユン先生の気持ちが再熱したのだと思う。」
「複雑・・・・・・複雑な気分・・・・・・」
「複雑なのはお前だけじゃないぞ。オレだって複雑な気分だよ。産まれた時あんなに小さかったスンミが・・・・・・・」
ハニはクスクスと本当は大きな声で笑いたかったが、眠っているスンミを見ながら出来るだけ抑えて笑った。
「焼きもち・・・・・スンミに焼きもち妬いてる・・・・・・」
「オレが焼きもち妬くか!」
「妬くよ。妬いた事があるじゃないの、私とギョルに・・・・あの時は今みたいに自分の声で言わなかったからすっごく辛かったけど・・・・そうやって言えば、私はスンジョ君しか好きになれないって知っているでしょって・・・・言ってあげたのに。」
スンミに焼きもち・・・・か・・・・
お義父さんもオレにそんな感情が湧いたのかな?
ハニは一人だけの子供だったし、お義母さんとそっくりだって言っていたな。
オレがスンミに・・・・あのユン・サンに焼きもちを妬いているのは、スンミがハニにそっくりで、あの頃と重ねて見てしまう。
きっとあの人もこんな風に見ているのだろう。
「スンジョ君・・・静養所に行く話は、私がスンミに言うから。」
「・・・・・」
「スンジョ君が言うと、きっとスンミも怖がっちゃうだろうし、母親として言いたい事もあるから。」
「それは任せたよ。ハニが納得してくれるのなら、今からナ先生の所に行って、手続きをして来るよ。」
スンジョが病室を出てドアが閉まると、ハニはベッドにできるだけ近くに寄った。
7人の子供の中でスンミが一番スンジョに可愛がられていた。
産まれた時からどこが悪いと言うわけでもなく、すぐに熱を出してベッドで休んでいる事が多かった。
「スンミもオンマが結婚した歳と同じになったんだね。信じられないよ。あの日の夜、産まれても元気に泣かなくて、ずっとスンミに悪い事をしちゃったって思っていたの。スンジョ君が疲れているから、朝まで我慢しよう。陣痛が始まった時、本当はそんなにのんびりしていたらダメな状態じゃなかったのに、どんな時もオンマはスンジョ君しか頭になくて・・・・。まだ幼いスンハとスンリがスンミが産まれるのを手伝ってくれたけど、きっとすごくショックだったと思う。一度だけいたずら好きなスングがオンマに叱られて拗ねた時、オンマがどれだけ大変な思いで産んだのか、スングにも見せたいよ・・・・って言ったの。その時、スンミ覚えてる?いけない事をしたらすぐに謝りなさいって・・・・自分で言ったのに、どうしてサン先生と付き合ってたの?報われない事を判っていたのに・・・・どうして?」
ハニの言葉が聞こえていたのか、スンミの閉じた瞼から涙が流れた。
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