明日はまだ何もない明日(スンミ) 21

「どう話していいのか・・・・付き合っていると言っても、大学への送り迎えをしたり、一緒にお茶を飲んだり。バレエに関するDVD鑑賞を二人で観たり。」

「それだけでもスンミがあなたを好きになった切っ掛けがあると思うのだけど、それは何が切っ掛けなんですか?あの子は人にあまり自分の気持ちを伝える事は上手くないですから。」

スンミの事になるとスンジョは自分らしさを失う。

結婚まで何度もハニを泣かせたから、ハニに似たスンミが泣くのを見るのが辛い。

ギテから聞いた、サンが昔ハニを好きだと言った事が頭から離れない。

スンミを通してハニを見ているのではないかとも言っていた。

「ご両親の前で話してもいいのか迷いますが。スンミに誤解をさせた出来事があるんです。」

「誤解?」

サンの妻じゃなくても、今彼が言った言葉が責任逃れをしているように聞こえた。

「何もなかったとは言いません。お前もスンミのご両親も誤解をするのではっきり言います。スンミは真っ白の綺麗な身体のままです。私はスンミと親密なつながりを持とうと思いませんでした。ただ、誤解を生んだ事は・・・・・・高校生の時に好きだった女の子とそっくりだったからです。」

「よくある手じゃないの。」

サンの妻の言うとおりだ。

ハニの身代わりにスンミを利用したとしたら許しがたい。

「誤解をさせた時は本気だった・・・・・かもしれない。ちょうどカナダ公演でのDVDを届けた時、ご両親がいないのならをそれを渡して帰るつもりだった。おばあさんの教えで客人にお茶を出さずに返すのは失礼だから、お茶だけでもと・・・・・それを断れば良かった。仲の良かったジヨンが躍っているのを観た時のスンミの悲しそうな顔を見て・・・・・その顔が片想いだった女の子に似ていてつい・・・・・・」

「つい?」

スンジョはなぜか無性に腹が立って来た。

それはサンが好きだったのがハニだと知っているのと、子供の中で一番可愛がっている娘がスンミだから、それをこの男の口から聞かなければいけないと思うと腹が立って来た。

「あなたの好きだった人ってこの女なの?阿婆擦れ女の母親なの?」

どこまでこの妻は品がないのだろう。

そんな女にハニやスンミをバカにされたくない。

「スンミへの思いが自分の思い違いだと思ったのは、その後にスンミがカナダ公演での演目の自分のパートを、誰もいないレッスン場で踊った時、躍っている時はお母さんにそっくりだった。温かくて優しい躍り方をするのがスンミ。カナダ公演に行く事が出来たら躍るはずだったパートを踊り終えた時の表情が、お父さんにそっくりで近寄りがたくて・・・・・・その表情を見た時にスンミには悪いが、母親にの顔に懐かしさを感じただけだと気が付きました。」

「スンミにはその事を言いましたか?」

「はい・・・・言ってはいけないと思いましたが、自分にも娘がいます。その娘の事を考えたら、このままスンミの気持ちを知っているのに、知らない振りをしていてはスンミにも良くないと思って言いました。その後に熱を出して・・・・・・・先日、お父さんが教室の3階の倉庫にいらした時は、別れるのが嫌だと言って少し言い争って・・・・熱が高いのだから落ち着くようにと思ったのですが・・・・・・申し訳ありません。」

大人しくなった妻をサンはチラッと見て、今度はスンジョの方をしっかりと見た。

「スンミが言っていました。自分は小さい頃から身体が弱くて、ペク家のお荷物だと・・・・完璧な父と、健康な兄妹を見ているのは辛い。もし完璧な父に弱みがあったらきっと自分と同じ年齢の男の子を好きになっていたかもしれないけど、先生は完璧ではないから魅かれたのかもしれないと。」

「そんな事をスンミが・・・・・・・」

自分の弱みが何なのかは自分が一番知っているし、それを他人に言う事もない。

「一日でも早く体力が戻って元気な顔を見せて欲しいです。私みたいに父親よりも年上の男ではなく、同年齢の男の子と幸せになって欲しいと・・・・・・・・」

「そう・・・・先生と話し合ってくれたの・・・・ありがとうオンマ・・・・・」

<結局は別れる事になったけど、報われない恋は貫く事は出来ないよ。>

「うんうん・・・・大丈夫・・・・・」

<それとね、オンマ暫く行けないけど週末にアッパがスンミの顔を見に行くって。>

「いいのに・・・元気にしているから。忙しいでしょ?学会が近いはずだから・・・・そうだ、ミラの具合はどう?」

<赤ちゃんも大丈夫だけど、そのまま入院になったの。スンスクもいろいろ忙しいから、ほとんど病室にいるの。>

まだ19歳なのにスンスクは立派だ。

治らない病気のミラの全てを受け止めて、今度は父親になる事を決めたのだから。

私はミラの代わりに、産まれてくる子供をずっと見守ってあげなきゃ。

「おい、またスマホか。点滴の時間だぞ。」

この研修医はどうして担当でもないのに、こうも私に関わるのだろう。

「キム先生、どうして先生のネームプレートはフルネームじゃないの?」

「だから言っただろう。お前の体重が45キロになったら教えてやると言っただろう。今朝の測定は42.5キロだったぞ。」

意地悪な言い方のこの研修医に、こう毎日細々と体重の事を言われるのは何故なのか分からないけれど・・・結構楽しい。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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