明日はまだ何もない明日(スンミ) 33
数分の間が、何分もの時間に感じる。
いつもと違っている表情のヒョンジャに、スンミは戸惑うしかなかった。
「困る・・・・・」
「困る?」
「だって、私とこうして話すようになったのは最近だし、まだ気持ちの切り替えが出来ていないの。」
年齢が近い人との交流は今まで兄妹以外なかった。
ましてや異性から気持ちを告白もされた事などなかった。
「実は・・・・・・」
ヒョンジャはいっその事、教授とスンリの協力での出会いの事を言ってしまおうかとも思っていた。
が、そんな事を言ってしまえば逆に距離を置かれてしまう。
「実は何?冗談です。君をからかうのがオレの楽しみだから?」
「ハハハ、よく判ったな。」
「だって、私のアッパはオンマにそういつも言っているもの。」
「お前はそうやって笑っている顔が一番可愛いよ。ごちそうさん、あとはお前のために弟が作ってくれたのだから食べろよ。」
「もう行くの?」
「ああ、休みだからと言ってのんびりしていられない。研修医の身には完全な休日は無いからな。部屋に行ってレポートを纏めないといけないから。」
冗談で言ったのか本気なのかが判らない。
だって私は今までどちらかというと先生を追いかけていた方だから。
スンミは背中を向けて出て行くヒョンジャをただ黙って眺めていた。
どこか兄のスンリと似ている所があるから、傷ついた状態で来た時の不安感はあまり感じなかった。
前から私を知っていたと言った、キム・ヒョンジャ。
彼はどこかアッパと似ている。
口が悪くて本当に頭に来る時もあるけれど、それは全て私の為に言ってくれている。
食が細くて痩せっぽちで、だから小さい時から身体が弱かった。
何か有れば熱を出して、そのたびにアッパやオンマが付きっ切りで見ていてくれる。
学校を休んで勉強が送れたら、スンリお兄さんが教えてくれるし、弟のスンスクも一緒に考えてくれる。
生れてはじめて親元から離れて暮らしている。
いつまでも親や兄妹に頼っていてはいけない。
前に進むためには、もっと先を見なければ。
このスンギが作ってくれた料理。
私の好きな物ばかり。
学校の勉強が大変なのに、きっとククスのおじいちゃんの所で作って来てくれたんだ。
みんなが、私が元気になる様にと願ってくれている。
変わらないと。
今までの人に頼ってばかりの私から、自分から進んで出来るスンミに変わろう。
ヒョンジャ先生がいてくれるならきっと私は変わる事が出来るかもしれない。
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