明日はまだ何もない明日(スンミ) 35
机の向こうにベッドがあるのだろうか。
その辺りに脱ぎ散らかした洋服が落ちている。
その洋服は昨日スンミの部屋に来た時に着ていた物だ。
「良かった、一階で・・・・・二階だったら、入り口から入って一部屋ずつドアをノックして行かないといけない。」
バレエ教室で先生が休んでいる倉庫に行く時のドキドキと違う感じが、胸の奥でドックンドックンと言っているように感じる。
初めて・・・初めてだわ・・・・・
こんなにドックンドックンと心臓が飛び出しそうになるのは。
そっとヒョンジャの部屋のドアノブに手を掛けて回すと、部屋は鍵が掛っていない。
「先生?キム・ヒョンジャ先生?」
静かにゆっくりとドアを開けるが、ヒョンジャの声は聞こえてこなかった。
代わりに聞こえて来たのは、魘されている声。
「う・・・うぅぅ~・・・ぅ・・・・」
窓の外からは見えなかったが、思った通り服が脱ぎ捨てられた所にベッドがあった。
兄のスンリの部屋にもあまり入った事がなく、自分とそれほど年の違わない異性の部屋に入る事に戸惑いはあったが、そんな事を思っている場合ではなかった。
どう見てもヒョンジャはかなり熱が高く見える。
スンミの白くて細い指が、ヒョンジャのおでこに触れると怖い程に熱が高かった。
「どうしよう、すごく熱が高い・・・・えっと、私が熱を出した時は・・・・水分補強と着換えの用意。」
バスルームからタオル類を用意し、クローゼットから着替えを取りだし冷蔵庫から水分補給に丁度いい飲み物を見つけて、それを常温に戻す準備をした。
自分が熱を出した時に、父スンジョや母ハニがしてくれた事を思い出しながら、ヒョンジャの看病をし始めた。
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