明日はまだ何もない明日(スンミ) 46
いつもは自分以外誰もいない一人部屋で目を覚ましていた。
今日は久しぶりに会えたオンマと、二人で目覚める事が出来た。
帰りたいな・・・・早く家に帰って、オンマの作った殻入りの玉子焼きに少々他の家庭よりも塩っ辛い味噌チゲに火が通っていない里芋煮と硬い豆のサラダが食べたい。
普通の人には食べられないかもしれないけど、私の兄妹とアッパはそれが大好物。
「オンマ・・・・・」
スースーと寝息を立てて寝ているオンマの顔は、本当に自分とよく似ていると思う。
娘の私から見ても、オンマは可愛い・・・・と言うわけでもないけど、どこか構いたくなりそうなほどいつも無防備。
「おはよう、スンミ・・・・・起きてたの?」
「うん・・・食事ね・・どこで食べる?部屋に持って来てもいいし、食堂で食べてもいいの。」
「スンリも食堂で食べるのなら、食堂で食べてそのまま帰るわ。今日は、スンギの個人面談なの。」
「そんな大事な用事があるのに、私の所に泊まらなくても、昨日アッパが帰る時に一緒に帰れば良かったのに。」
「そうすれば良かった・・・・・アッパがいないと眠れなくて・・・」
ふざけて言っているわけでもなく、ハニは本気で言っている。
スンミよりも早く寝付いて、よくベッドから落ちそうになっていた。
50代も半ばを過ぎていても、ハニは娘の前でもスンジョへの片想いの話を毎日始める。
家を出る時はそんな話も出来ない程、自分もオンマも傷ついて疲れていた。
何日かぶりの片想いの気持ち。
誰の目から見てもスンジョがハニを愛していることは判るのに、片想いは辛いと言い続けている。
「オンマ・・・・・アッパに片想いって言っても、7人も子供がいるのに誰がそれを信じるの?」
「子供は7人でも妊娠したのは6回しかないわ。」
「6回しかって・・・・・普通の家庭は子供が2~3人で、妊娠はそれと同じくらいでしょ?どれだけアッパがオンマに・・クスクス・・・・・」
「な・・何よ・・・変な事を考えないでよ。」
赤い顔をして脹れるオンマを見るのが楽しい。
アッパが今でもオンマをからかっている気持がよく判る私は、顔はオンマに似ているけど性格はアッパ似なのかも。
ハニは母として、静養所所長とスンミの担当医に挨拶をした。
「所長さんこちらの方がスンミの担当の先生ですか?」
「担当というか・・・どちらかと言うと・・・あの・・・キム・ヒョンジャ!ちょっとこっちに・・・・スンミちゃんのお母さんが挨拶に見えているぞ!」
スンミの心臓はドクンとした。
どうしてなのだろう。
あの看病した日から、ヒョンジャと関連した事を聞いたりすると、心臓がドキドキして来る。
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