明日はまだ何もない明日(スンミ) 58

規則正しい生活が健康になるための一番の薬

二番目は、後ろを振り向かないで日々を前向きに生きる事

捨てられた雑誌の小さな記事を見つけて、私はその言葉を頭に刻んだ。

未来を拓く(ひらく)のは自分で、守ってくれた両親でもなく関わってくれた人たちでもない。

拾わなければ、その記事を目にする事もなかったけれど、その小さな記事よりもあの大きな見出しの記事を目にする事もなかった。

大きな見出しの記事にはショックだったけれど、あの記事を私の両親も読んでいないはずはないと思った。

おじさんの会社とアッパの立場も考えると、取材はあったはずだし出版された雑誌にも目を通している。

でも、あの小さな記事があったから、私はキム先生への想いをあんな風に人前で言う事は無かった。

“某大手玩具メーカー一族でP大学医学部教授の某名門女子大在学中の次女(21)、妻子ある男性と不倫”

自分の部屋のごみを出しに来て、焼却炉近くで見つけた。

タイトルだけで自分の事だと直ぐに判り、怖い物見たさで拾って部屋に持ち帰って読んだ。

記事に合わせて載っていた写真は合成で、とても嫌らしいもので信じられなかった。

大好きなレオタードを着て練習している所を盗撮して、画像処理までされていた。

私は先生とはキスだけしかしていないのに・・・・・それ以上の事は無かったのにどうしてなの?

先生の奥さんの怖さをまた思い出して、胸が苦しくなったけど自業自得。

どんな風にこういった雑誌が書くのか、勇気を振り絞って読む事にした。

先生との関係が、すごく嫌らしく表現されていて悪意があるとしか思えない内容で悔しくて恥ずかしくて涙が止まらなかった。

その記事を読んでいる時は自分の事で一杯だったけど、最後書かれている事はそれ以上に悲しかった。

あんなに仲の良い理想の両親の事を悪く書かれていたから。

“母が母なら娘も同じ、今から30年ほど前に、某財閥令嬢と婚約中だった男性をその女性から奪って結婚した”

知らなくて驚いて、頭がクラクラした。

スンリお兄さんから聞いた事があった。

「アッパとオンマには、絶対に触れてはいけない事がある。」

ああこの事なんだ、これがそうだ。

自分がそんな二人の娘だから仕方がないと思ったけれど、そんな事をするオンマではないから信じられなくて泣いちゃった。

「オンマは婚約中だったアッパを他の女の人から奪ったの?」

そう聞いた時、電話口からお兄さんが怒鳴った。

あの時は自宅ではなくて病院にいる時だよね?

ソラ義姉はお腹に赤ちゃんがいるから、家にいる時は大きな声を出さない。

「それは違う。親父は当時おじいさんの会社の社長だった時、経営が難しい状況で会社のため結婚をしようとした。お袋の事が好きだったけど、それを諦めて見合いをしたんだ。でも、お袋しか好きになれないし結婚するのもお袋以外考えられないと気が付いて、ちゃんと相手に許しを請うて結婚話を断ったんだ。そうでなければオレはソラと結婚が出来ない。」

理由を聞いて、アッパと結婚をする予定だった相手の人が、ソラ義姉さんのお母さんだったと知った。

あんな記事を見たら、オンマやアッパだけじゃなくて、スンリお兄さんも辛いだろうな。

もうこの雑誌はこの焼却炉の中に入れてしまおう。

私の大好きな赤毛のアンの中の言葉。

明日はまだ何もない明日。

真っ白な紙に、新しい自分のすべき事する事を書いて行こう。

後を振り向かないで日々を前向きに生きる事

未来を拓くのは自分なのだから。

遠くに見えて来た車に、スンミは大きく手を振った。

大きく大きく千切れるくらいに、今まで一度もした事のないスンミの行動。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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