明日はまだ何もない明日(スンミ) 68
ミニテーブルに広げられた大量の写真。
そこに写っているのは、作業着を着て誰かと話をして笑っているスンミ。
「お母さん・・・・スンミの所に行っていたのですか?」
スンミの写真を一枚手に持って驚いているハニの隣に座ったスンジョは、下の方に紛れているスンミとヒョンジャが二人で見つめ合っている写真を見つけた。
が、それとは別の所にしまっておいた写真をグミはそれをスンジョとハニの前にチラチラとさせた。
「おおおおおお母さん・・・・・そそそその写真・・・・・・・・」
L版のスナップ写真とは別の所から出した、A4判に拡大されたスンミとヒョンジャがキスをした瞬間のショット。
「盗撮か?」
「人聞きの悪い・・・・・偶然に撮れただけよ。あのバレエ教室の先生と終ったのなら、どうしていつまでも静養所に行かせたままなの?」
「自分のやりたい事をやるためだろ?スンミももう立派な大人だ。親が決めなくても自分で決断が出来る。」
「それがこのキム・ヒョンジャという研修医と結婚すると言う事なの?」
ニヤリと笑うグミの顔は、久しぶりに獲物にありつけた猫のように目がキラリと光っていた。
「どこまで知っているのか知らないが、スンミはオレとハニの娘だ、お袋の考えている事はおおよそ見当がつくが、関わらないでほしい。」
「スンミがあなたとハニちゃんの娘だと言う事は、十分に判っているわ。あなた達の娘でもあるけれど私の可愛い孫娘でもあるのよ。ハニちゃんが仕事やまだ幼い子供たちと、病気のミラと産まれてくる子供の世話もあるだろうから、私がハニちゃんに代わって・・・・・」
「いいよ・・・・余計な事をしなくても。」
「余計な事じゃないわ。よく考えてみてよ。結婚というのはやっぱり姉より先に弟がしたら世間体もあるでしょ。いくら病気の嫁の為に待っていられない事も十分判っているけど・・・・・・・」
グミにはグミの考えがあり、スンジョにはスンジョの考えがある。
楽しい事が大好きなグミにしたら、孫娘の結婚も自分の描いているようにしたい。
スンハの時はまだスングもスアも産まれていなくて、最初の娘の結婚式をハニが楽しんで準備をしていたから、手を出したい気持ちをグミは押さえていた。
「お母さん、お気持ちは嬉しいですが、ヒョンジャ君のご両親の立場もありますし、スンハと違って急ぐ理由のない結婚なので、スンミとヒョンジャ君二人の考えの通りにさせてあげてください。自分たちの思う時期に思うような結婚式をさせてください。」
「ハニちゃん・・・・・・・」
「それに、スンスクとミラの子供が産まれて落ち着くまでもありますが、スンミは休学しているままなので復学してちゃんと大学を出てから結婚させてあげたいので。」
学生結婚がどれだけ大変だったのかは、ハニ自身がよく判っていた。
スンミはハニと違ってスンジョの頭脳を引き継いでいるから、勉強に困る事はないが妻と学生の両立をするには、今まで苦労をした事のないスンミには負担になる。
「でも、あまり長い間結婚もしないで恋人のままでいたら、もし赤ちゃんが出来たりしたらどうするの?」
「そこはキチンと二人に話をするよ。スンミは子供が産める身体ではないと言う事を。」
「どういう事?普通に毎月生理も来ているし、痩せてはいるけど産めない事はないと思うわ。排卵が無いのなら別だけど。」
「リアルな事を言うんだなお袋は・・・・・・これはハニにも言っていなかった事だけど、スンミの心臓は妊娠出産に耐える事が出来るかどうかなんだ。もし産むとしても命の保証はないかもしれない。」
0コメント