明日はまだ何もない明日(スンミ) 73
私の一つ年下の弟。
彼はいつも大人びていた・・・・・そうみんなは思っていたけど、本当は年相応よりもとても純粋で心優しい男の子。
今は妻となったミラは高校の時の教育実習生。
決して優秀な人でもなく、ミラよりも自分の方が知識も豊富なのに『好きになったのは大好きな母とよく似ていて、何事にもひたむきに自分の目標に対して努力をするところが好きになった』と、いつもそう言っていた。
「産まれたんだよね、おめでとう・・・・」
「スンミ、ありがとう・・でも・・・・意識が戻らなくて・・・・」
病気を患っているのに、スンスクとの愛の証として二人の子供を望んだ私の大切な親友。
凄い夫婦だよね。
スンスクはまだ20になったばかりで、ミラも自分の未来に期限があるのに、スンスクが悲しまない様に、自分がスンスクを本当に愛した証を残したい・・・そう言っていた。
「目を開けてくれないんだ・・・・手は温かいし、心臓も動いているのに・・・・僕の所為だ・・僕の子供を産んでくれたばかりに。」
「大丈夫、ミラは目を開けてくれるよ。ちょっと疲れただけだから、少し長く眠りたいだけだから。だって私とまだ話がしたいはずだもの。」
責任を感じなくていいよ。
ミラの全てを受け止めて結婚をしたあなたの所に、必ず笑顔で戻って来るから。
看護師が身体を拭きに来ている間、スンスクと一緒にスンミはミラが産んだ子供の面会に行った。
泣いている姿はまだ少年の様で、知らない人が見ればスンスクとミラはどう映っているのか私は知っているし、二人も知っている。
サン先生との事は、私が恋に恋したのだと思う。
歳は下でも、スンスクは私よりも早く本当の愛に出会えたんだね。
「スンミお姉さん・・・ほら、この子だよ。名前はミレ(未来)というんだ。ミラが僕の為に頑張って産んでくれたから、少しでも長く生きられるようにと、僕が付けたんだけどセンスないよね。お父さんに相談したんだ、ミラのご両親とお父さんとお母さんで名前を付けてと・・・そうしたら、ミラのご両親も僕が付けた方がいいと言ってくれたけど、難しいよね子供の名前を考えるのは。」
「そんな事ないよ、スンスクらしくすごく愛にあふれた素敵な意味が含まれていていい名前だよ・・・ミレ・・・ミレ・・・」
小さな手がギュウッと握られて、小さな口が動いて可愛い欠伸(あくび)をしている。
「抱っこしてあげたの?ミレを。」
「うん、怖かった。小さくて軽くて・・・でもすごく温かくて柔らかかったよ。」
大人しくて自分の本当の気持ちを伝える事が苦手なスンスクの今の顔は、本に幸せだと言う気持ちを表しているね。
そんな所はアッパとよく似ている。
「あのね・・・・私・・・結婚する事にしたの。」
「サン先生じゃないよね?」
「違うよ。スンリお兄さんの友達のキム・ヒョンジャという静養所で働いている研修医なの。サン先生の時はスンスクが隠してくれてありがとう。そのせいで、ミラにも辛い思いをさせちゃったけど・・・・」
「ミラは気にしていないよ。無事に子供が産まれたし。」
親友の可愛い娘と初めて対面してから数日後に、親友のミラは意識を戻した。
その連絡をスンスクは誰よりも先に私にしてくれた。
私は今日、遅れたけれどキム先生のご両親と私の両親とで初の顔合わせに行く。
アッパはキム先生のお父様とは学会で会った事があるけど、私は初めての顔をお互いに合わせる。
実家に戻った時に、本当は会う予定だったけどキム先生が自分の家族を優先にと言ってくれた。
緊張と興奮で少し目の下にクマが出来ているけど、大丈夫だよね・・・・・
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