明日はまだ何もない明日(スンミ) 84
ヒョンジャと一緒に会いたい私の一番の親友。
学校も休みがちで、恵まれた家庭環境とペク・スンジョの娘と言うだけで近づいて来ている事が分かっていたから心を許せる友人はいなかった。
近づく人はみなスンミの恵まれた家庭環境を利用したいだけ。
「で、どこに行けばいい?」
「パラン大病院の駐車場まで。」
「医者か看護師に親友がいるのか?」
「違うの・・・ミラの所。私よりも年上の弟のお嫁さんなの。」
「この間、出産したばかりだろ?面会出来るのか?」
「スンスクがね、ミラにキム先生の事を話したら私たちに会いたいって・・・・・・」
一番ミラが喜んでくれていると思う。
サン先生と付き合っている事を心配していたし、先生の奥さんが家に来た時にすごく怖がらせちゃった。
身体が悪いのに、熱がある私の為に薬を持って来る途中だった。
パラン大病院はヒョンジャにとっては職場でもある。
スンミと婚約をした事が伝わっているのか、すれ違う人たちにお祝いの言葉を掛けられた。
ペク・スンジョの娘で、ペク・スンハとぺク・スンリの妹だと結構知られていた。
何度も入退院を繰り返していたから、顔見知りの看護師にもお祝いを言われた。
「ここ、ここよミラの病室は。」
「いいのか?」
「いいの。ミラがね、自分の病気の事も知ってほしいって。」
未来を見る事が出来ないミラは、スンスクと結婚をして最近赤ちゃんを生んだ。
つらいだろうな。
自分には未来が無いのに、命がけで赤ちゃんを生むなんて。
スンミは軽くノックをして、返事は返って来ないが静かにドアを開けた。
ミラはリクライニングを起こして笑顔でスンミとヒョンジャを迎えた。
「来ちゃった。」
「いらっしゃい・・・・・座って・・・」
スンスクがいつも座っている椅子と並べて、補助の椅子をスンミは並べた。
数ヶ月前に比べるとミラの病気が進んでいるのか、また手足が細くなっていた。
「ミラ、赤ちゃん可愛い女の子だってスンスクが言っていたわ。」
「会って来てくれた?」
「まだ。帰りに会っていくね。」
ミラはスンミの隣に立っているヒョンジャに頭を軽く下げた。
「一度会った事がありますよね。」
「気が付きましたか?二年前、初めて診察を受けた時に、会計窓口が判らなくて迷子になっていましたね。」
「恥ずかしいわ・・・・・・あの時は病気の事を宣告されて、泣いていたから酷い顔していたわ。」
ミラは嬉しそうだった。
スンスクと同じで、決して物事を悪い方に考えない。
ミラがあと何年生きられるのか判らないけれど、ミラのその綺麗な心を私が生まれたミレに伝えてあげるね。
新生児室のガラス越しに立ち、ヒョンジャと並んでミラが生んだばかりの子供を探そうとした。
「ほら、ここのインターフォンで呼ぶんだ。」
ヒョンジャに言われて、中にいる看護師にミラの子供ミレを近くまで連れて来て貰った。
ガラス越しに見ても判るほど、ミラとスンスクの二人によく似ていた。
望んではいけないけれど、私もミラの様に好きな人の子供を生む事が出来たらどんなに幸せだろう。
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