明日はまだ何もない明日(スンミ) 87
退院をして来たミラとミレ。
家の中は小さな命の誕生で明るい雰囲気が漂っている。
私に元気がないと、その雰囲気を暗くしてしまうから、キム先生の事で考え込まない様にしないといけない。
「ミラ、入ってもいい?」
「いいわよ。」
スンスクもミラが退院したら安心して大学に通い始めた。
ミラの横で眠っているミレは、命がけで生んだ子供。
「可愛い・・・・・・・」
「スンミもキム先生と結婚したら可愛い子供を生めるわよ。」
「そうね・・・・・・・・」
スンミの元気ない応えに、ミラがその様子にすぐに気が付いた。
「何かあったの?キム先生と。」
「判っちゃった?」
「病気をしているとね、家族に心配を掛けまいとしているから、一寸した微妙な表情の変化も気になっちゃうの。」
そうだよね。
ミラは年下の、それも教育実習で教えた生徒のスンスクと結婚した事ですごく周囲を気にしていたものね。
「誰にも言わないでね。」
「言わないわ。」
「指輪を貰ったんだけど・・・・・受け取って良かったのか・・・・・・」
「結婚をするんでしょ?」
「迷っているの・・・・・・どうしようかと・・・・・・・・」
長い会話をする事はミラにとっては大変な事。
それでもお互い義理ではあるが姉と妹であり、大切な親友でもあるからと悩んでいるスンミの相談をだまって聞こうとしていた。
「キム先生ね、アフリカに転勤するの。」
「アフリカ?アメリカではなくてアフリカ?」
誰でもそう思うだろう。
アメリカ転勤の話は割と聞くが、アフリカと言う地名を聞く事があまりないから。
「どうしたらいい?私とお見合いをする前に申請をしていたんだって・・・・・・・医療設備のない地域での活動をしたいと思って・・・・・・・申請したけど、何の返事もないから受理されなかったと思ってたら、昨日会った時に申請が受理されたという事を伝えられて。」
「一緒に来て欲しいから、そう言ったのじゃないかな?」
「一緒に?」
「きっと、スンミを一人置いておきたくないから・・・・・・それに、誰も知っている人がいない国で・・・・・スンミがいてくれたら、きっと安心して過ごせるんじゃないかな・・・・」
スンミは判っていた。
もし一人でも行くつもりなら、スンミの両親に話して・・・・・と言うヒョンジャだと判っていた。
数日前までは、こんな事になるとは思わないで、二人でこれからの話をしていたのだから。
「付いて行くも行かないも、どっちの選択でもキム先生なら受け止めてくれるよ。静養所で、スンミをこんなに元気にしてくれた人だから。」
ミラの言うとおり、こっちに帰って来てから毎日普通に大学を休まないで通っているのだから。
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