スンスクの春恋(スンスク) 22
部屋の隅に置かれている椅子に腰かけて、眠っているスンスクの寝顔を見ながら着替えた。
壁伝いにドアまで歩きノブを廻して開けると、ダイニングにグミとハニとミアが朝食の準備をしていた。
気恥ずかしくどう声を掛けたらいいのか迷っていたら、二階から降りて来た人に声を掛けられた。
「ミラ?」
昨日の内輪のお祝いの食事の時には聞かなかった声がした。
「はい・・・・・」
振り向くと美人で有名なパラン大病院の産婦人科医のスンハが立っていた。
「私はスンハでスンスクの一番上の姉よ。」
朝食の準備をしているハニたちに二人の声が聞こえたのか、モーニングプレートを並べながら二人に声を掛けた。
「二人とも座ったら?起きた人から食べないと、スア達が起きて来るとユックリできないわよ。スンハはミラを支えてこちらに座らせてあげてね。」
「私に掴まって、背が高いからでどこを掴んでもいいわよ。」
遠慮しているミラの手をスンハは自分の腰に回して、スンハの長い腕はミラの反対側の腰を支えた。
椅子を引いて座らせると、スンハは向かい側に座った。
目がクルッと大きくて色白でペク教授とそっくりなスンハに見とれていると、スンハは大きな欠伸をした。
「ゴメ・・・ンね。深夜にひとり生まれてね・・・・ふぁ・・・・・明け方に家に来たからまだ寝ていなくて・・・・・・・よく来るのよ実家に。主人も医者で夜勤があるから、子供をここに預けて私も病院に行くの。」
「子供・・・・・・お一人ですか?」
スンハはニヤッと笑ってお腹を指差した。
「今・・・・5か月に入ったの。夜勤はしないようにしているけど、子供が生まれるのはいつか分からなくて・・・・・・・ミラも早くスンスクの子供が欲しいでしょ?それとも・・・もういるの?」
「え?・・・・・いえ・・・・」
ミラはスンハが自分の病気を知っているのか気になった。
「生めるよ。パランは優秀な医師がそろっているから。」
ミラは有名な家族のペク家の人が、何故こんなに病気を持っている自分を嫁に迎えてくれたのかがずっと不思議に思っていた。
スンスクの兄弟は、明るくて人を見下さない。
それが、今ダイニングで家族の朝食を準備しているスンスクの祖母のグミも母であるハニもおばのミアもみんないつも笑顔だ。
それが、スンスクの優しい性格を育ませたのだと思った。
「どうかしたの?昨夜は眠れた?」
「はい・・・・・」
「ハニちゃん、ミラは新婚なんだものスンスクが眠らせてくれるわけがないじゃない、ねーミラちゃん?」
スンスクの祖母のグミは自分の母よりも年齢が上なのに、若々しく見えるとミラは思った。
「昨日は・・・・・その・・・・」
「いいわよ、言わなくても。でも・・・スンスクは女の子に興味がなかったから・・・・・ちゃんと大丈夫だったか心配で・・・・・・・」
「スンジョだってそうだったじゃない。後にも先にも付き合った女の子はいないのに・・・・・・ウンジョもそうよね?二人とも最初の夜はどうだったの?」
朝からこんな会話をしている三人にミラは緊張がほぐれてくるようだった。
「おばあちゃんたち、そんな事を朝から話さないでよ。ミラが困っているでしょ・・・・・私はもう少し眠るから・・・・・・インハをお願いね。」
スンハはまた大きな欠伸をして、膨らんでいるお腹をさすりながら二階に上がって行った。
世間で言う嫁姑小姑の問題は、このペク家に存在しないことを知り、この先の自分の人生をこの家で過ごせる事に安心感がわいた。
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