スンスクの春恋(スンスク) 24
子供たちの父親スンジョとスンハ・スンリ・スンミ・スンスクと高校の入学式と卒業式は生徒代表の言葉を述べていたから。
それだけではなく、ウンジョも生徒代表だったが、ウンジョの息子ウジョンは、主席入学のスンミに次ぐ次席だったため生徒代表になれなかったが、ペク家=成績優秀な生徒として有名だった。
勿論、生徒代表になるのは成績が優秀だからだけではなく、模範学生として過ごしたから。
でも、今日の卒業式は人々の視線は称賛というより、驚きの声の方が多かった。
「スンスク君のお母様におばあ様・・・・・おはようございます。」
一人の保護者が挨拶をして来た。
「じゃ・・・オレは来賓席に行くから。」
スンジョはその保護者に会釈して、来賓の控室に向かった。
「こちらのお嬢様は?」
「ホン・ミラよ。うちの嫁です。」
「まぁ・・・・そうですの?スンリ君もそんな年齢なのね?」
グミもハニも否定はしなかった。
ここでスンスクの嫁だと言えば、人は良い事は言わないだろうから。
「ゴメンねミラ。今日が最後だから、ちゃんとあなたはスンスクの嫁として思っているわ。」
「お義母さん、平気です。スンスクが何も知らない人に悪く言われたくないですから。」
ミラを支えて、ハニとグミは卒業式の会場に入った。
開会の挨拶・来賓の挨拶・校長の挨拶に続いて、卒業生代表の挨拶が始まる頃になると、さすがにミラは同じ体勢のままで疲れて来た。
「フゥー」
隣に座っているハニに聞こえないように息を吐いたが聞こえたようだ。
「疲れたの?」
「大丈夫です、スンスクの挨拶を聞いてあげないと・・・・・」
舞台に上がるスンスクを見つめているミラを見て、ハニは安心して正面を向いた。
「今日のこの卒業式に生徒代表として挨拶をする事を、とても光栄に思っています。僕は人前で話をする事が苦手です。沢山の兄弟の中で一人だけ両親に似ていません。もちろんただ似ていないだけですが、人にはそれぞれ隠れた性格という物があります。落ち着いて見える人が本当はとても緊張しやすかったり、心の奥は誰にも判りません・・・・・・・両親や姉兄たちと同じように医療の道に進もうか、でも・・・・・人の生命にかかわる仕事に対する不安があり進路について悩んでいました。そんなある日、ある一人の人が教育実習で指導をしてくださる時に、事前に準備をしていたのにもかかわらず、生徒を目の前にして頭が真っ白になり一時間の授業を無駄にしてしまいました。年下の高校生に怒る事も無く、ただ謝るばかりの日々が続きました。普通の人ならきっと泣いて教育者になる事を辞めたでしょう。
でも、その人はそんな忘れる事も出来ない思いがあっても教育者を目指しました。」
ミラはスンスクが自分の事を言っているのだと思った。
卒業式の前日に結婚した事を言ってしまうのかと心配をした。
昨晩ベッドに入った時、お互い緊張をしていたが今日の卒業式の話をした。
「明日の卒業式の生徒代表の挨拶・・・・・頑張ってね。会場で私も見ているから。」
「緊張するなぁ・・・・・先生・・・・ミラが見ていると思うと。」
「ひとつだけ約束してね、私と結婚した事は誰にも言ってはダメよ。高校在学中に結婚した事を知れば、人は良くは言わないからスンスクの為にもならないし・・・・」
「言いません。ミラが僕と結婚した事で侮辱されるのは嫌ですから。」
何も知らない人たちに自分が何を言われても構わないが、まだ若いスンスクが憶測だけで人の好奇な視線に晒される事は耐えられない。
この後の人生に一番大切なのはスンスクと家族だけ。
その家族を守るためにも、この結婚はずっと内緒にしておきたい。
ゴメンね、スンスク。
こんな私のわがままを聞いてね。
おやすみ・・・・・・
0コメント