スンスクの春恋(スンスク) 31
スンスクの高校卒業を祝う会と、スンスクとミラの指輪の交換が無事に終わった。
ミラの両親と兄弟家族を見送るために、スンジョとハニは門の外に移動した。
スンスクとミラの二人はお互いの両親から少し遅れて、車椅子を使って
ガレージ前に到着した。
ミラの車椅子を押して歩いてくるスンスクの様子を、ミラの両親は見守るような視線を向けていた。
「お待たせ、お母さん。」
「幸せ?」
「幸せだよ、私ね・・・・・後悔したくない人生を送りたいの。スンスクはね、私よりも年下だけど、すごく頼りがいがあって優しいの。もしもの時は、お母さんとお父さんもスンスクを助けてあげてね。」
「ええ・・ええ・・・助けるわ。」
「スンスク君・・・ミラを頼む。スンジョさん・・・・・ハニさん、うちの娘をよろしくお願いします。」
それぞれの両親は、大きな決断をした子供たちの事を思い握手をした。
「ハニさん、先ほどのお話の件・・・・・・お任せください。私が精一杯いたしますので。」
ハニはスンスクとミラの方をチラッと見て慌てた顔をした。
「お願いしますね・・・・ウチの方だけしては、そちらも立場があるだろうから・・・・・って・・・・」
今度はスンジョの方をチラッと見た。
「主人が言ったの・・・・・スンスクの祖母は、こういった事をするのが好きで、頼めば何でもやってくれちゃうんです。それでよく喧嘩をするんですよ・・・・・あ・・・これは私が言ったなんて、内緒ですよ。」
帰る両親たちの乗った車を見送るミラは、絶対に幸せになると心に誓っていた。
家の中に入ると、片付けをスンミやスアとミアがグミの指示で動いていた。
スンリとスンギとスングもテーブルを片付けたり、壁に飾られた飾りを取り外したりしている。
「兄さん、僕もやります。」
椅子を元に戻しているスンリにスンスクが手を出すと、スンリはそれを断った。
「お前はミラと部屋に行って休んでいろよ。」
「そうよ、普通ならちゃんと結婚式を挙げて、新婚旅行に行くじゃない。新婚旅行は行けなくても、二人だけで話でも何でもしてらっしゃい。うちは兄弟が多いから片付も早く終わるから、休んでいて。身体が弱いって言われている私でも、少しは役に立つんだから。」
兄スンリと姉スンミに言われて二人は部屋に入って行った。
ゆっくりゆっくりと歩いて、窓際の椅子に向かうミラの後ろからスンスクは抱きしめた。
「スンスク?」
「こうしてみたかった・・・・・映画とかは俳優さんが背が高くてかっこいいですけど、ずっとこうしたいと思っていたんです。」
肩口から廻されたスンスクの優しい手にミラはそっとキスをした。
「スンスクは私にとって王子様で運命の人よ。人は姿形で判断してはいけないの。今だから言うけど・・・・私の元彼は・・・・最悪の性格だったの。」
スンスクはミラの元彼の事を聞かされると胸が苦しくなるが、聞いておいた方がこれからの二人のためには必要だと思った。
「元彼・・・・・・世間体や対面だけを気にする人なの。時々、この人でいいのかなって思ったけど、この人を逃したら私は一生結婚できないとも思ったの。でも、スンスクとこうして結婚したら、スンスクはすごく心が落ち着くの。私・・・・いい奥さんにはなれないかもしれないけど、スンスクだけを思って頑張るね。」
スンスクの左の薬指の指輪に触れるミラの唇は、その性格と同じで温かだった。
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