スンスクの春恋(スンスク) 33

朝食は高校を卒業したスンスクを覗いて、他の兄弟たちはおかずの争奪戦の最中だった。

ハニの殻入り玉子焼きに慣れている弟達だが、ミラの玉子焼きの減りが遅かった。

「スンギ、白いお皿の玉子焼きも食べて。」

ハニは手を付けたがらない弟達に食べさせるために、スンスクの次の男の子であるスンギのお皿に、ミラの作った玉子焼きを乗せた。

「ヤダよ、オンマ・・・・・これは食べにくい。」

事情を知っているスンリは、マグカップを口に当てながら、笑いを堪えていた。

「美味しいよ・・・スンスクなんていつもよりも沢山食べているんだから。」

「いらない!」

スンギは何も知らされないまま、お皿の上に乗せられた玉子焼きをスンスクのお皿に乗せた。

ペク家の兄弟たちは上の兄や姉に倣う事が暗黙の了解なのだろう。

スンギがハニに取り分けられた玉子をスンスクのお皿に乗せると、スングもスアも自分たちのお皿に乗せられた玉子焼きをスンスクのお皿に乗せた。

スンスクの従妹のウジョンとスンハの息子のインハはお互いに顔を見合わせて考えていた。

「おいおい、弟達よ。その玉子焼きはカルシウムが豊富に入っているから、食べるとアッパみたいにかっこよくなるぞ。」

兄弟たちの尊敬するアッパみたいになると言われれば、どんな事もするのもハニたちの子供の特徴。

目を瞑ってゴクンと玉子焼きを飲み込むスンスクの兄弟たちに申し訳なさそうな顔をミラはしていた。

「ほらほら、学校に行く時間を見なさいよ。」

グミの掛け声で、スンギは中学に、スングとスアとインハは小学校に行くために家を出て行った。

「スンミは、今日は具合悪いのかなぁ・・・・昨日送って行く約束したのに・・・・・・・」

「ゴメンね・・・・いつもウジョンが送ってくれて助かるけど、夜中にまた熱が出たみたいで点滴を打ったの」

「いいよ、じゃあおばさん行って来ます。オンマとおばあちゃん行ってきます。」

「スンミちゃん、具合が悪いんですか?」

「そうなの・・・・・スンジョ君が今診ているんだけど、私もスンジョ君も今日は日勤だから・・・おばあちゃんは出版社でインタビューだし、ミアは取引先の奥さんと出かけないといけないし・・・・困ったわ。」

ミラはスンスクの方をチラッと見て、日課にしている散歩を今日はやめようと思った。

「お義母さん、私が看ていますから、病院に行ってください。

「いいの?移る熱ではないから心配ないんだけど・・・・・もし何かあったらスンスクに言ってくれれば私たちに連絡してくれるわ。」

ミラはスンミより年上だがスンスクはスンミの弟だから、二人はなんとなくどう接していいのか迷っていた。

看病が互いに想いを伝えるのかどうかは判らないが、年齢が上の自分から近づいて行こうと思った。

ミラがスンジョに言われた薬を持って階段の下から見上げていると、スンスクが心配そうに声を掛けて来た。

「僕が持って行きましょうか?」

「ううん大丈夫よ。出来る事はやりたいし、スンミと仲良くしたいから。」

そう言うとミラは階段を一段づつ上がって行った。

スンミの部屋をノックすると、中から起きていたのかスンミの応えた。

ドアを開けて入って来たミラに驚いてスンミは起き上がった。

「オンマとアッパは出かけちゃったんだ・・・・・・・・」

「ええ・・・・私がスンミを看るからって言ったので・・・・・・これ、お義父さんが用意してくれた薬です。」

折れそうに細いスンミの腕は、ミラの腕よりも細くて白かった。

薬を飲んで一息ついた時に、ミラはスンミに声を掛けた。

「少し話をしても大丈夫ですか?」

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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