スンスクの春恋(スンスク) 42
スンスクが大学に行っている時は、ミラは家でグミやミアと一緒に家事をしていた。
来月にはスンリとソラの結婚式がある。
スンリの大学時代の仲間からのお祝いや新居に運ぶ荷物が、リビングに幾つか置かれていた。
インターフォンが鳴って、手の空いていたミラが応対した。
「イルム百貨店です。」
「はい、行きます・・・・」
インターフォンのスイッチも、ミラが出る事か出来るように下に付け替えた。
「おばあさん、イルム百貨店から荷物が届いたので受け取ります。」
「お願いね。手が離せないの・・・」
グミは明日からの撮影旅行のための準備をし、ミアは外で洗濯物を取り入れていた。
掛けていた椅子から立ち上がった時、目眩がしてその場にしゃがみこんだ。
怖い・・・・何だろう・・・冷や汗も出る。
ガタンと椅子を倒した音で、グミが心配そうに顔を出した。
「ミラ?どうかしたの?」
ミラは冷や汗をぬぐいながら、何事もなかったかのようにいつもと変わらない様子を見せた。
「大丈夫です・・・・・・椅子を蹴ってしまって・・・・・・・」
「そう・・・・・何かあったら言うのよ。」
「はい・・・・・」
壁伝いにゆっくりと歩いて、玄関を出て門までをゆっくりゆっくりと降りて行った。
門で待っている配達員からイルム百貨店からの届け物を受け取ると、またミラは家に通じる階段を上った。
「ゴメンね・・・・・・・まぁ、届いたのね。」
ミラが持って来た荷物をグミは受け取ると、リビングのテーブルの上に置いた。
「どうしたの?顔色が悪いけど・・・・・」
「何でもないです・・・・・ちょっと昼寝をしようかなって思ってただけで・・・・」
さっきよりは多少良くなった感じはするが、今までにない感覚が怖くて不安になって来た。
「そうね・・・・少し休んだ方がいいかもしれないわね。でも、ちょっとこれを着てみない?来月のスンリの結婚式でソラが着るウエディングドレスよ。」
グミが開けた箱には、仕上がったばかりのウエディングドレスが入っていた。
急に籍を入れただけの結婚で、式を挙げていなければドレスも着なかった。
スンスクやペク家の人たちには言えなかった。
式を挙げたいと。
自分はスンスクより年が上で、おまけに病気を知っていての急いだ結婚。
スンスクの兄のスンリよりも先に式を挙げられないと言ったスンスクの気持ち。
一度は好きな人との結婚式でウエディングドレスを着たい。
「内緒よ・・・・・・・ちょっと着てみない?ミラはソラよりも細いから大きいかもしれないけど・・・」
「でも・・・・・」
「大丈夫・・・・さっ、部屋に行って着ましょうね。」
グミと一緒にミラは自分の部屋に行って、ソラの着るウエディングドレスにそでを通した。
シルクの肌触りが心地よくて温かくて、まるでスンスクに包まれているようだった。
「不思議ねぇ・・・・・ソラに合わせて設えたのに、ミラの身体にピッタリね。」
記念ねと言ってグミはソラのウエディングドレスを着た写真を一枚撮った。
体調のすぐれないミラはそのあと、スンスクが家に帰るまでベッドで休無事にした。
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