スンスクの春恋(スンスク) 43
「ただいま・・・・・ミラは?」
グミとミアはスンスクの一言に声を出して笑った。
「お・・おばあちゃん?」
「ゴ・・ゴメンね・・・・スンジョとそっくりよ。」
「お父さんと?」
「そうよぉ~、スンジョも家に帰って来てリビングや自分が一番最初に目が行った場所にハニちゃんがいないと、毎回聞いているわよねぇ~ミア?」
「ええ・・・・クスクス・・・・お義兄さん・・・今でお義姉さんをスンスクみたいに探してますものね。」
赤い顔をして汗を流しているスンスクは、グミやミアの言う言葉に恥ずかしくて隠れたいほどだった。
「お・・おばあちゃん・・・からかわないでください・・・・・」
「判ったわ・・・・・・ミラはね具合が悪いって・・・・休んでいるのよ。貧血みたい・・だか・・・・・まぁ!」
グミの話が終らないうちに、スンスクは自分の部屋に駆け込んだ。
_____バンッ!
「ミラ!病院に行かないと!」
「スンスク・・・お帰り・・大丈夫・・さっきよりも大分良くなったから。時々貧血するの・・・・・・でもね・・でも・・怖かった・・・・・」
両手で顔を覆ってミラは泣き出した。
そんなミラをスンスクはベッドの端に腰かけてふんわりと抱き寄せた。
「いつもと違って・・・・・すごく怖かったの・・心臓がバクバクして・・・怖くて怖くて・・・スンスクに会いたくて・・・・・」
もう大丈夫だとスンスクは心でそう言いながら、ミラの背中を優しく何度も軽くたたいた。
「お父さんに電話で聞いてみようか?今から診察が出来るか。」
「うん・・・スンスクが一緒に行ってくれるのなら・・・・・」
「当たり前だよ、ミラは僕の奥さんなんだから。お父さんは外科だけど、時間外の枠を取ってくれると思う。それにミラは病気を抱えているから、どこ枠でも大丈夫だ。」
スンスクは着替える間もなく、すぐに携帯を取り出してスンジョに電話をした。
「O・Kだよ。すぐに病院に来るようにって。着替えられる?」
コクンと頷いたミラを支えるように立ち上がらせた。
ふら付きながらも自分で着替えるミラを、手を放しても大丈夫だと判断してスンスクはリビングにいるグミの所に行った。
「ミラが不安がっているから、今から病院に行って来ます。」
「そうね、不安を取り除くのも薬と同じよね。」
まだ十代のスンスクが妻を労わって歩いている姿を見て、グミはスンジョとハニの長所を受け継いでいるスンスクを誇らしげに見ていた。
「お義母さん、ミラは大丈夫かしら?」
「大丈夫よ。スンジョもまだ病院にいるのだから、きっと何とかなるわ。」
何とかなる・・・
そう思ったのはグミだけではない。
当のミラもスンスクも何とかなると思っていた。
不安を取り除くのは、医者でも家族でもない。
ミラ自身が自分で取り除く事しかないのではないだろうか。
神経内科の診察室で、担当の医師は無言で検査結果を見ていた。
「先生・・・ちゃんと決められた通りに薬を飲んでいたんですけど・・・・すごく冷や汗も出てグルグルと目が回って・・・・・・・・」
「フゥ―」
担当医師が大きく息を吐いて、心配そうにしている二人の方に向いた。
「しばらく薬は飲まない方がいいですね。」
「でも・・・・私は一日でも長くスンスクといたいんです。」
「ミラさん・・・スンスクさん・・・・紹介状を書きますので、そちらで診察をしてくれますか?専門外なので・・・・・」
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