スンスクの春恋(スンスク) 50
東側にある若い二人の部屋に、太陽の暖かな陽射しが注がれていた。
二人の性格が寝姿にも表れて、スンスクは身体を真っすぐにしてミラはスンスクに寄り添うように眠っていた。
掛け布団の中から静かに腕が伸びると、枕元の目覚まし時計を取った。
「そうか・・・・・もうこんな時間なんだ。」
スンスクは自分の身体に回されたミラの腕をそっと外して、バスルームに向かった。
小さい頃から父の真似して、起床したらすぐにシャワーを浴びている。
床と壁に当たる水の音でミラは目を覚ました。
ユックリと起きて、クローゼットに行きスンスクの着替えを用意する。
が、大体いつもスンスクがやっているから、ミラはミニテーブルの上に冷たい飲み物を準備している。
たった数ヶ月一緒に暮らしているだけだが、何も言わないでもお互いのタイミングをまるでベテラン夫婦の様に判っている。
「起こしちゃった?」
「ううん・・・・」
【おはようのキス】をお互いの頬にして、ミラの用意した冷たい飲み物を飲む。
一つ一つの行動は、何も言わないでも二人の心が通っている。
「ミラ、具合が悪かったらまだ眠っていていいよ。」
「平気・・・・昨日ねスンミが言ってたの。楽しい事を考えるとツワリもないって。」
「姉さんもそう言っていた。もし気分が悪くなかったら、ソラさんが来ているから挨拶だけでもしてくる?」
ソラは式場までを自分の両親とではなく、スンリと二人で行く事になっていた。
スンスクは急いで着替えると、ミラの着替えを手伝った。
「おはよう、僕たちの赤ちゃん。今日はアッパとオンマと大事な場所に出かけるから、オンマを守ってね。」
「スンスクったら・・・・まだ聞こえないよ。」
毎朝スンスクはミラのお腹にいる小さな命に声を掛けている。
ミラのお腹に声を掛けると、ミラは笑いながら『まだ聞こえないよ』と言って二人はお互いに抱きあう。
二人そろって寝室から出ると、ダイニングテーブルにスンリとソラがグミの用意した朝食を食べていた。
「おぅ、新婚さんのお出ましだ。」
「まぁ・・・スンリだって今夜からは新婚さんでしょ。」
いつものスンスクとミラのように、スンリとソラも顔を見合わせた。
「ソラ、ミラは1月に子供が生まれるんだ。」
「そうなの・・・・ミラおめでとう。楽しみね。」
「ありがとうございます。」
ソラはスンリからミラの病気の事を聞いている。
出来るだけソラらしくペク家に来る時は明るくしている。
それがミラにとってもいい事だと、スンリに言われていたから。
「うちの両親にはまだ話していなんだけど・・・・スンスクが結婚しているって。」
リビングでハニと並んで座ってコーヒーを飲んでいるスンジョが珍しく自分から話し出した。
「言わなくてもいいさ、今日は二人の結婚式だから。終ってから話しても別に問題なから。」
「おじ様がそうおっしゃるなら、お任せしますね。ミラ、今日は楽しみね。」
何か意味ありげにソラはミラに話しかけると、タクシーが到着した事を知らされるとスンリと揃って式場に向かった。
慌ただしい結婚式のペク家で、のんびりとして並んで座っている義理の両親の様子をミラは見ているのが好きだった。
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