あなたに逢いたくて 3

いつものように帰宅して、おばさんに帰宅をしたあいさつをしようと思っても、スンジョ君がパパに私と結婚をしたいと言ったから、どん風にして顔を会わせたらいいのか・・・・

玄関のドアを開けるのを躊躇していると、ガレージに車を停めて来たスンジョが背後に立っていた。
ハニの後ろから長い腕を伸ばし、ハニの手を包むようにして一緒にドアノブを掴んだ。
誰もいない時は、スンジョにバックハグをして貰うのは慣れているはずなのに、今日は心臓がバクバクする。
耳元にスンジョの顔が近づき、温かい息がかかると身震いがした。
「もう少しで、居候から本当の家族だな。」
そう言って赤くなっているハニの耳朶にスンジョがキスをした瞬間、勢いよくドアが開いた。
「お・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・」
ウンジョは驚いた。

ハニの事をいつもからかったり、意地悪をして泣かせていた兄が、ハニの耳朶にキスをしていたから。
スンジョはウンジョの頭を、何も言わずクシャクシャとして横を通り過ぎた。
「ママが・・・・お兄ちゃんの車の音がしたのに入ってこないから見て来てって、言ったから・・・・・・・・見てないよ、僕は何も・・・・・・・」
上目づかいに兄とハニを見るウンジョは、キスをしていた兄が大人に見えてドキドキとしていた。

「まぁ~お兄ちゃんたち一緒に帰って来たのねぇ~。ハニちゃんも疲れたでしょ?テニスの強化合宿で。お部屋で休む?それとも、お風呂に入るか甘い物でも食べる?」
グミはハニの腕を掴み、家の中に引っ張り入れた。
「お袋、話があるんだ。」
何時もの平然とした顔ではなく、改まって緊張をしている顔のスンジョに、グミはハニの手を引いたまま振り返った。
「珍しいわね、お兄ちゃんが畏まった顔をして話があるなんて言うのは。」
リビングのソファーに腰掛けたグミは、いつにも寄りも緊張しているからなのか、無愛想なスンジョの顔をじっと見た。
「ハニも・・・・・」
スンジョは離れた椅子に座ろうとするハニを、自分の隣に並んで座らせた。

勘の鋭いグミは、恥ずかしそうにスンジョの横に座るハニを見てピンと来た。
それでも今日はいつも無口で自分から話したがらないスンジョが話し始めるのを待っていた。
「オレ・・・・・ハニと結婚がしたい。」
今まで何かとハニをスンジョとくっつけようとしていた時、それを嫌がりうるさがったりしていたスンジョからの言葉にグミの目は輝いた。
「いつから付き合っていたの?ママがあんなにハニちゃんをあなたのお嫁さんにって言っていたのに嫌がっていたじゃないの。もしかして、大変なことになったの?」

大変なこと?何のことだろう・・・・・
ハニはスンジョの方を見ても特に表情を変えるわけでもなく真剣な顔をしていた。
「妊娠はしていない・・・・・・・結婚と言ってもハニが、大学を出てから。オレが一人前になって、入隊する前に・・・・・・」
「スンジョとハニちゃんが結婚するなら急いで式場を探さないと・・・・・忙しくなるわね。」
話の途中ではあったが、グミは嬉しそうに立ち上がった。
「お袋・・・・・結婚はまだ先だ。」
「何を言っているのよ。パパの立場を考えて、ちゃんとした格式のあるところで挙げないとね。それに、ドレスも信頼のできる所で素敵なのを作らないと・・・・・・まずは婚約式の準備よ。」
グミが願っていたスンジョとハニの結婚。
親の目に狂いはなかったと言いながらも、なんだかオレ自身も気分は悪くなかった。
ただ一つ気が重いのは、親父に医学部に移ったことを話すことだ。
ハニに夢を聞かれて、それまで親父の跡を継ぐのが当たり前と思っていたことが、違っていたことに気付き、本当にやりたいことが何か悩んでいる時にオレの頭脳を生かせる医師という選択を教えてくれた。

それが、日々進歩している医療の現場。
ウンジョが腸ねん転で入院した時に改めて目の当たりにした医療の現場。
小児科に難病で長期入院している幼い子供たちや、原因が判らず苦しんでいる患者を助けてみたいと思った。
初めて人のために何かをしたいと思った。
それを教えてくれたのはハニだった。ハニはいつでも自分の事より他人だった。

その他人はほとんどがオレに対してだったけど、それが嫌ではなく気分が良かった。
誰かが自分を必要としているのなら、それを生かそうと思ったから・・・・・・・。

お袋はオレのそんな思いも知らないで、ハニが自分の家の本当の家族になるのだと言って喜んでいる。
結婚の意思を表しただけなのに、気が早いというかこのまま放っておくと孫の話まで出て来そうだ。
目の前で笑顔で話しているハニとお袋なら世間で言う、嫁姑の問題は我が家には関係なさそうだ。
それよりも、今夜親父が帰って来てから話す方の事が、オレには気がかりで憂鬱だった。

し~んと静まり返ったリビングに、スリッパの音を立ててウンジョが走って来た。
「ママ!パパが帰って来たよ。」。
リビングのソファーに座っていたグミとスンジョは、いつもより早い時間に帰って来たスチャンが入って来る玄関の方を向いた。
いつもニコニコと笑っている父が、顔を赤くして怒ったように家に入って来たことで、スンジョは良くないことで帰って来たことに気付いた。


ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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