スンスクの春恋(スンスク) 58

スンリの結婚式でウェディングドレスを着てから、気が付けばもう3ヶ月が過ぎていた。

ハニはスンジョと一緒に勤務していたパラン大病院を退職して、息子の嫁であるミラとスンスクが帰るまでの時間を過ごす事になった。

妊娠が判ってからのミラは服薬を中止している。

少しずつでも病気の進行は進んでいるが、少しでも筋力を運動によって付けなければ出産する頃には、ベッド上での生活になってしまう。

「ミラ、じゃあリハビリ頑張ろうか。」

「はい。」

血圧も脈も安定している。

温かいおしぼりで動かす場所を温めると、いつもミラは目を瞑って心を落ち着かせる。

「お腹、大きくなって来たね。」

「はい、不思議ですね。お腹が大きくなると、なんだかお母さんになると言う実感が湧いてきて、前よりももっとスンスクが好きになりました。」

ハニは自慢の息子の嫁がとても可愛かった。

スンリの妻のソラが可愛くないわけでもないが、ヘラと似ているソラを見ると30年以上経ってもあの頃の事を思い出して辛くなる。

「スンスクの子供を一人じゃなく沢山生んでね。」

「お義母さん・・・・・・・」

ハニはスンジョから聞かされていた。

ミラは出産で多分【ずっと寝たきりになる】と・・・・・・

女性にとって子供を一人生むのも大変だし、病気を抱えている人によってはさらに病気が進行して行く可能性を考えないといけない。

無理だと思っていても、ミラに未来を見せてあげたいからハニは<沢山生んでね>と口に出した。

室内でのリハビリも、今のミラにとってはとても体力を使う事になる。

病気が判ってからもう一年近くになる。

部屋の中にある手すりを使ってトイレに行ったり、窓を開けたりするのも辛そうにしている。

入浴はスンスクが傍に付いて見守っているが、一人で身体を洗うのも途中で休む事がある。

「明日は妊婦健診だけどスンスクは一緒に行けるって言ってた?」

「ええ、産科の前で待ち合わせにしたのですけど、お母さんも一緒に行けそうですか?」

「勿論、私が予約を入れたのに行けないなんて事ないわ。」

話をしながら足や腕をマッサージすると、ミラは自力で腕を動かしたり足を動かしている。

「あっ!」

「どうしたの?」

「おなかの赤ちゃんが動きました。」

「今日が初めて?」

「はい。」

ミラは自分の病気が進行している状況で、お腹の中の子供が動いた事で諦めないでこの今の状況が悪化しないように頑張ろうと思った。

「スンスクに、メールをしたらきっと喜んで走って帰って来るかもね。」

「そうですね。メール送りますね。」

メールを打つ事も指を動かすリハビリだと、スンスクに言われて些細な事もすぐに知らせていた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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