スンスクの春恋(スンスク) 66
×月×日
ミレのオムツを換える事が出来てうれしい。
いつもスンスクとお母さんが換えてくれた。
誰もそばにいないわけでもないけど、一度自分だけで換えたかった。
×月×日
ミレとスンスクが並んで座っていると、すごく幸せに感じる。
良かった、ミレを生む事が出来て。
スンスクは寂しくないよね?
私も寂しくないから心配しないで。
×月×日
今日、神経内科を受診
あまりいい状況じゃないけど、好きな人と結婚してその人の子供を生めたのだから何も望まない。
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×月×日
ミレが歩き始めた。
スンスクは汗を掻きながら、ミレの後を付いている。
「ミラとミレの為にダイエットを始めた」
知っているよ。
最近痩せてちょっとお義父さんと似て来たから。
×月×日
スンスクとミラと公園に散歩。
兄妹で遊ぶのを、うらやましそうに見ているミレ。
ゴメンね、オンマが病気じゃなかったら、兄妹を作ってあげられたのに。
×月×日
私に似ているとスンスクはミレの事を言う
私にしたらミレの優しい所は、スンスクに似ている
ペンを持つのが辛い・・・・・
(このころからミラの文字に力が無くなっていた。リハビリだからと、毎日短い言葉で書いている)
×月×日
スンスクのバカ!
私だって生きたい
(この日が初めての喧嘩だった。お父さんもお母さんもおばあちゃんも入って来て、僕たちを宥めた。)
「二人目なんて無理だ。」
「人工・・・・授精・・で・・・・」
「そんな事してまで、生む必要はないよ」
「生むの・・・私・・・・」
「僕はミラとミレとの三人の生活がいいんだよ。子供は一人だけのつもりだったし、ミラも同じだと思っていた。」
(初めての喧嘩で興奮して、ミラは過呼吸になった。お母さんから初めて聞いた、ミラが自分の命を縮めても二人目を欲しがった理由)
「スンスクとよく似た男の子が欲しいの。ミレが私に似ているってスンスクが言うから、今度はスンスクとよく似た男の子を生んで、二人が幸せになったらスンスクも寂しくないから・・・って。でもね、お母さんもそれは反対したの。スンスクとミレの為に一日でも長く生きて・・・・って」
(嫌だった・・・そんな事をしても、僕はミラがいなくなる方が悲しいから)
×月×日
赤ちゃんが着床した
あんなに反対していたスンスクが涙を流して喜んだ
×月×日
ツワリ
吐けない
(ツワリで苦しんでいるのに吐けないのと、力が無くなって文字も書けなくなった時期だ。次が最後の日記になる)
×月×日
入院
手術
ご対面かな?
「ミラ?聞こえる?」
僕は生まれたばかりの息子を連れて、ミラのベッドに近づいた。
「スンスク?ミラは目を瞑っているけど、ちゃんと聞こえるよ。話してあげて子供の名前。」
かすかに動くミラの瞼。
「ミラ・・・・小さいけど、頑張ってるよ。名前は・・・・ごめんセンスがなくて・・・・フィマン(希望)だよ。君の望んだ男の子だ。」
わずかに動くミラの手に、フィマンの手を持って行った。
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