スンスクの春恋(スンスク) 78
スンジョの外したネクタイと上着を受け取ると、ハニはハンガーに掛けてクローゼットの近くのポールにそれを掛けた。
フィマンとのやり取りをスンジョにひと通り話し終ると、並んでソファーに座った。
「そう言う事か・・・・最近フィマンが荒れているとは思っていたけど。」
「どうしたらいい?」
「スンスクに任せておけばいいさ。」
「スンスクに任せてって・・・・今朝も言い争っていたし、喧嘩をして帰って来るし・・・・もしも相手側が怪我をしたら・・・・・」
「フィマンも大人になる為に、乗り越えないといけない事にぶつかったんだ。」
昔からスンジョは、弱気になっている人間を甘やかすのではなく、冷たく突き放す。
それが原因でよくハニと喧嘩になった事があるし、今でも時々ハニが怒って口を利かない時もある。
「フィマンを生む時のミラの話をしてあげた方が・・・・」
「それも父親であるスンスクの役割だ。」
「でも・・・・」
「オレ達はスンスクの親でも、フィマンの祖父と祖母だ。親子で解決をする事に、オレ達が入り込む必要はない。それに、フィマンも世の中の人間が、いい人間ばかりじゃない事を判る機会だ。カッとなって喧嘩になったにしても、売られた喧嘩に乗ったフィマンが悪い。スンリだってスンギだって色々悩んで自分で乗り越えた。スンスクは人から好奇の目で見られても、ミラとの事を自分の力で実現した。スンスクの子供だし、オ・ハニの血を受け継いでいるフィマンだから大丈夫だ。」
納得はいかないが、ハニはスンジョがそう言うのならそう言う事にしてもいいと諦めた。
「判ったわ・・・・・それと・・スンスクのお見合いの事は・・・」
「それも焦る必要はないが、スンスクの様子を見てオレから話をするよ。」
喧嘩っ早くて荒れた時期もあったスンリの時は、仕事を理由に話しをしてあげなかった事を後悔し、顔も頭も自分に似てしまったスンギの、ペク家の血筋と言う重い期待で悩んでいた時もあったが、スンジョが言うように自分で乗り越えて今は幸せな結婚をして親になった。
スンスクは手の掛らない子供で安心していられたが、年上のミラと出逢って恋をして、今はミラの面影をいつまでも追っている。
同じ様に育てても、子供の性格が違うのだから違った問題が持ち上がってしまうが、結局ハニが解決をしようと思っていても、スンジョが殆ど解決をしているような気がした。
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