スンスクの春恋(スンスク) 85
パランでの伝説のカップルになったミレの祖父母と、ミラは初めて対面した。
年齢よりも若く見える祖母のハニと、白い髪が多くても素敵でダンディと言う言葉はこの人のためにあるのかと思えるスンジョに、緊張をしながら頭を下げて挨拶をした。
「ゆっくりして行ってね・・・・ミレ、後から部屋までおやつを持って行くわね。」
「ありがとう、おばあちゃん・・・ミラ、こっちよ。」
中学生になった頃に、父と弟と一緒に使っていた部屋から2階の一部屋を自分専用の部屋としてリフォームをして貰った。
「隣の部屋が、弟の部屋よ・・・・その向こうの二部屋が、おじさんやおばさんが夜勤明けに時々泊りに来るの。」
2階にある部屋の話をしながら、ミレは自分の部屋のドアを開けた。
女の子らしくピンクと白を基調した部屋は、年ごろの娘ならきっと憧れるような部屋。
「座って・・・・・」
椅子にはレースのついたクッションカバー。
母子家庭のミラには、ミレの家が羨ましく感じたが、ミレはそれを鼻に掛けたりしない所が安心して一緒にいられる友達だった。
成績のいい二人にとって、一緒に勉強をするのは父だけ母だけで育った二人の心の寂しさがあったからかもしれない。
いくら大好きで自慢の親でも、子供にしたら両親二人が揃っていて欲しい。
祖母のハニがおやつを持って来ると、ふたりは広げていたテキストを片付けて食べ始めた。
「あの写真がミレのお母さん?」
まだ赤ちゃんだったミレを抱き、スンスクと一緒に写っているミラ。
「うん、まだこの時はあまり病気も悪化していなくて、お父さんの誕生日にグミおばあちゃん・・・・・お父さんのおばあちゃんね・・が写してくれたの。」
「先生、まだ若いね・・・・」
「二十歳・・・・だったかな?お父さんが結婚したのは19歳でお母さんが23歳・・・・病気のお母さんとずっと一緒にいたいからって結婚したの。」
「知らなかった・・・・」
「ミラの所は?お父さんはどうしていないの?」
「・・・・・・・」
「いいよ、言いたくなかったら言わなくても。人には聞いてもいい事と聞いてはいけない事があるってお父さんが言っていたから。」
「お父さんの事も顔も知らないの・・・・・私がお母さんのお腹に出来た時に、どこかに逃げて行ってしまったって。だから、私が理想とする父親像は、ペク先生・・・ミレのお父さん。優しくて温かくて・・・・今ミレから話を聞いてもっと好きになった。」
ホン・ミラのその言葉は、ミレには特に気にする事でもなかったし、ミラも何か意味を含めて言った言葉でもなかった。
楽しそうに笑う声が聞こえるミレの部屋。
その笑い声が、リビングにいるハニやスンジョとグミにも聞こえた。
「久しぶりに聞くミレの笑い声ね。」
「本当・・・フィマンもスンスクと話をして少しずつ元に戻って行くし・・・・・あとはスンスクが再婚をしてくれれば、お母さんもスンジョ君も勿論私も安心なんだけど・・・・親が亡くなって子供が独立したらスンスクは一人になってしまうから・・・・」
スンジョもハニも、スンスクの見合いの事をいつまた切り出そうかと考えていた。
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