スンスクの春恋(スンスク) 97
「1クラスから7クラスと、普段顔を合せない人との親睦も兼ねていますが、引率の先生の指示で最初の合流場所景福宮に、脱落者なく集まるように。」
教頭が、学校を出る前に注意事項を生徒に伝えると全員がそれぞれクラスのグループと一緒に学校の門から出て行った。
ミラのクラスも他のクラスも殆どが男子が集まり、女子が数人いてもお互いにクラスは違っても面識があるのか、話をしながら歩いていた。
1クラスは、他のクラスから敬遠されている訳ではないが、成績優秀な集団として特別視されていた。
「ミラ、景福宮で会おうね。ペク先生、ミラをよろしくお願いします。」
人見知りをするミラを心配して、ミレは1コースを引率する父のスンスクにそう声を掛けて、3コースを行くクラスの友達と一緒に門を出て行った。
「1コースを行く男子たち、親睦と言ってもただ歩くのではなく、町の中を・・・・・」
この年齢の男子に言っても、まだ受験学年でもないから、ただ教室で授業をするのがない事が楽しいだけ。
スンスクの注意を聞く事も無く、男子たちはスンスクとミラの先を歩いていた。
「君も友達と一緒に歩いて行けばいいのに。外部から来たから、同じ中学の人とか・・・」
「みんな他のコースなので・・・それに、私・・・他のクラスの人は知らなくて・・・・先生と一緒に歩いてもいいですか?」
「先生じゃ楽しい話を知らないから、きっとつまらないと思うよ。」
「先生と一緒がいいんです。」
「えっ!?」
人見知りの生徒だとは思っていたが、先日突然ミレがいない時に来たり、こんな風に言ってくる生徒には思えない。
何も気にする事もないし、知っている人もいないのに、教師と一緒に歩いてはいけないとは言えない。
課外授業で、何かあってはそれこそ大問題になる。
ふたりで並んで歩いていても、何も話す事も無くどんな話をしてもいいのかスンスクは考えていた。
「ホン・ミラさんは、大学はどんな方面に進みたいの?」
「1クラスだと、どうしても大学に行かないといけないのですよね?」
「1クラスだけではなく、パラン高校は進学校だからね、家庭の事情で進学は難しい生徒には奨学金を申請して・・・・・君は大学には行きたくはないの?」
先生に話してみたいけど、私の生い立ちを聞いたらきっと驚いてしまう。
先生には嫌われたくない。
「先生の奥さんに・・・・・・」
「僕の奥さんがどうかした?」
言ってしまおうか・・・・私の気持ち。
「先生の奥さんになりたい・・・・」
人通りのある中で言葉として言っても、通り過ぎる人には会話は聞かれない。
他の人から見たら、私と先生はどう見ても教師と生徒にしか見えない。
「冗談です。小説を書きたい・・・・・・」
「君が冗談を言うのは珍しいね。小説家になるにしても、大学に行った方が役立つ事もあるよ。それに、誰かと結婚しても、相手に理解があれば書く事に挑戦も出来るよ。」
先生に冗談だと私が言った事に、先生がホッとしたように思うのは気のせいではないですね。
私が言った事は、先生にとったら生徒が軽い気持ちで言った事にしか取れないのですよね。
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