スンスクの春恋(スンスク) 114
「鍵をしっかり掛けて・・出来る限り家に一人でいる事が外に分からない様に・・・・・・」
ミラは一人で夜を過ごす事に慣れてはいたが、今ほどそれが怖くて仕方がないと思った事はなかった。
鍵をしっかりと掛けて、手に万が一の為にと柄の長い箒を持ち携帯をポケットに入れて、万が一の事があって外に飛び出しても困らない服装で布団に横になった。
それでも一人が怖く思うのは、昼間に会ったジフンのあの厭らしい顔を見たせいなのかもしれない。
静かな夜に吹く風が枝を揺らし、空き缶を転がしている音さえも怖く感じる。
目をギュッと瞑って、優しい眼差しのスンスクの笑顔を思い浮かべだ。
「怖い・・・怖い・・・・ううん・・怖いと思うから怖いんだよって、お母さんが言っていたっけ・・・・」
ミラは深呼吸をして、頭から布団をかぶり目をギュッと閉じた。
深夜近くになると、規則正しい生活をしているペク家の人たちは既に眠っている。
ただ一人遅い時間まで起きているのはスンスクだけ。
生徒たちが提出をした課外授業でのレポートを、一人一人チェックをしていた。
まだ全員が提出をしていた訳ではないが、早く出した人から順番に見ておかないと、時間が掛ってしまう可能性がある。
どんな内容での課外授業のレポートを出してもいいと言う、高校生になったばかりの生徒たちには難しいテーマだとよく父兄から言われるが、自主的に何かに取り組む事が、将来の進路を選択するのにいいと言う今の校長の考えだった。
その一番のモデルとなっているのは、パラン高校で伝説となっている、スンスクの両親でありミレの祖父母でもあった。
父親の会社を継ぐ事をしないで、大学に行ってから医学部に転入したペク・スンジョと、表向き看護師として人の為の仕事をしたくて転科したオ・ハニ。
特にオ・ハニは、最下位クラスからまさかのパラン大学推薦が通り、看護学科へ奇跡的に転科試験に合格をして、その後に国家試験に一度で通り看護師になれた事が、努力をして自分が決めた目標に向かって真っすぐに進む事が、ある意味最下位クラスの奇跡と言われていた。
『 王宮の悲劇 ホン・ミラ
私は王宮を見学して、その絢爛豪華な室内を見る事が出来た事から、王族がどう生活をしていたのかを思いました。展示されている物を見て、そこから自分の中で色々な考えを発展して行くうちに、物語を考えました。
ピピッ!
ミラのレポートを見ていた時に、スンスクの携帯に届いたメールの着信音に気が付いた。
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