スンスクの春恋(スンスク) 117
スンスクが傍にいる事に安心してミラはすぐに眠り付いた。
来てはいけない事は判っていたし、人が見たら誤解をされかねない。
壁にもたれて目を閉じると、触れてしまったミラの唇を思い出してしまう。
朝陽が上がる前に、この家を出て行こう。
カタンという物音でミラは目を覚ますと、そこにスンスクの姿は無かった。
深夜過ぎまで起きてスンスクの妻の話を聞いていた時は、その壁にもたれて自分を見ていた。
電気を消した暗い部屋でも判るスンスクの存在。
人にキスをした事もなければされた事も無かった。
初めて触れた唇と唇。
ほんの一瞬だったけど、触れた時は驚いたが不思議と嫌ではなかった。
まだ感触が残る唇にミラは、そっと指で触れた。
「先生・・・・」
スンスクが早い時間に家を出た事は、理解できるしそれは自分の為にしてくれた事だと判っていても、朝食まで一緒に過ごしたかった。
ミラ、僕のしている事はいけない事だよね。
ミラは、僕と出会ったパラン高校3年1クラスで教育実習生としての授業をする時、どんな風に僕を見ていたの?
僕の事をいつから好きになってくれていたのか、最後まで教えてくれなかったね。
ミラが教育実習に来ていた時、パク・ジフンと婚約していたけど、彼の事を本当に好きだった事は判っていたけど、僕と付き合い始めてから一度も彼の名前を言った事も無かったし、彼との思い出もすべて処分をして僕と結婚してくれた。
短い結婚生活の中で、4歳も年下で大学生になったばかりの収入もない人間と結婚して幸せだった?
いつもそればかり気にしていた。
ミラがいなくなってから、お父さんや学校の校長先生が、いくつも見合いの話を持って来るけど、一度も受ける気持ちになった事はなかった。
でも、今は見合いをしてみようかと思う。
このままでいたら名前が同じのミラと重なって、生徒のミラへの気持ちが膨らんでどうにもならないような気がする。
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