スンスクの春恋(スンスク) 119
「どう思うって・・・素直で真面目ないい生徒だと思うし、外部から入って来た生徒は、入学したら気が抜けているような生活をしているけど、彼女は・・・・・・・」
先生の奥さんになりたい
課外授業で傍に誰もいない時に言ったあの言葉を、本気にしている分けではないが、あの言葉を聞いてから自分の中で揺れている心があった。
「今朝から、ミラは携帯ばかり見ていて、通り過ぎた時にミラの携帯の画面に出ていた電話番号が、お父さんの携帯の番号だった・・・・・・昨日の夜、お父さんはミラに会いに行ったの?」
「ミレ・・・・」
「他の人に知られる前に、携帯の番号を変えて・・・もしこれが他の人に知られて、そんな事になったらミラは学校に来られなくなるし、お父さんは学校を辞めなければいけなくなるよ。そうなったら、お母さんが夢だった国語の教師になる事を汚すと思わないの?教師になったら終わりじゃないよね?」
ミレに気づかれた?
気づいていないはずだ。
誰にも言っていないのだから、ミラが心配でメールを貰った時に、後先考えずに会いに行った事を。
「お父さん?何か言って・・・ミラは、1クラスに一人しかいない外部から来た子なの。もし、私が言った事が事実なら、クラスで孤立してしまう事になるかもしれない。みんな、外部から来た人たちにあまりいい印象を持っていないから。」
「違うよ。朝早く・・・太陽が昇る時に、お母さんのお墓に行っていただけだ。」
「本当?」
「本当だよ。最近、フィマンが反抗期だったりして、お母さんのお墓に行って話をしていないと思ったら、急に行きたくなって行って来たんだよ。お母さんの大切な子供の報告を、ずっとしていこうと決めていたから、どんな時間でもお母さんに会いたくなったらすぐに行くつもりだったよ。」
「信じていいよね?ミラは、大人しくて、男子はミラが外部から来た子だからってバカにして良く苛めているの。本当の事だからと言って、何を言われても、言い返す事も言いたい事があっても言えないの。」
自分の娘のミレを騙している。
ミラをお前達のお母さんと重ねて見ていると、そんな事を言ったらきっとミレもフィマンも僕から離れて行ってしまうような気がする。
「大丈夫だよ。ミラもクラスに馴染めばきっと自分の思っている事を言えると思う。それまでは、クラス委員のミレが傍に付いていてあげるように。」
授業の予鈴が鳴っているのに気がつくと、お互いに授業に遅れないように話は終わった。
「ミレ、お父さん・・・・お見合いをしてみようと思うけど、ミレは賛成してくれる?」
「いい人ならね。お父さんはお母さんが亡くなってから頑張ったから、もう一度誰かを好きになって再婚してくれた方が私は嬉しいし応援をするよ。いつまでもお母さんを想って泣いていたら前に進めないし、きっとお母さんもお父さんの再婚を望んでいると思う。」
また自分の心を誤魔化した。
本当はまだ見合いの話しなんて来ていない。
ただ、今日の夕方お父さんに呼ばれて行くロイヤルホテルのラウンジの事が見合い話のような気がしていた。
誰にも言えない秘密を、いつまでも自分の中で押さえて行けるのかは判らない。
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