あなたに逢いたくて 19

「おお、コン秘書、今日はどうした?休憩時間にわざわざ・・・・」

会社の人か・・・・

スチャンも入院した時くらい、仕事を忘れてユックリと養生をすればいいのに。

「社長、息子さんが社長代理として来てくださってからは、お陰でわが社は短期間で随分と変わりました。社員も、仕事に対して活気が溢れています。」

スチャンとグミは会社を継ぐのを嫌がっていたスンジョが、しっかりと仕事をしている事をコン秘書から聞いて嬉しかった。

「それと、ユン会長が一度社長と奥様に挨拶をしたいそうですが・・・」

「ワシと妻に?挨拶なんて、お互い長い付き合いだから、今さら改まって挨拶をすることも無いのになぁ。」

「社長?ご存知ないのですか?息子さんがユン会長のお孫さんとお見合いをされ、お互いにご結婚に対して前向きに考えられておみえなので、会長は婚約の話を進めたいとのことですが・・・・」

グミは秘書の話しに驚き、持っていたトレーを思わず落とした。

「何かの間違いでしょ。息子には結婚を考えているお嬢さんがいるのですよ。私たち夫婦も認めている主人の親友の娘さんと結婚の話が出ているのですよ。」

「しかし、息子さんは・・・・」

コン秘書は、グミの結婚を考えているお嬢さんがいるという言葉に驚いていた。

「ママ、スンジョに事情を聞いて見ないと・・・・それから話を纏めて行かないと、何が何だか・・・・コン秘書、悪いが出直してくれないか?息子から、見合いの話は何も聞いていないんだ、こんな状況だからワシの体調を見て言うつもりだったのだろうけど・・・・」

スチャンもグミも知らない間に、息子の周りの状況が何か変わってしまったことにただ困惑していた。

「ママ、ワシの体調も落ち着いているし、ずっと病院にいるから一度家に帰ってみたほうがいい。ギドンが、突然病院にまで来て引っ越すなんて言って来るし、スンジョの見合いとギドンが家を出ると言う事と、何か関係しているんじゃないか?」

「そうね。ハニちゃんに家の事を任せっぱなしだし、一度帰ってスンジョ達の様子を見て来るわ。」

グミがなにか考え込んでいるのをスチャンは気になった。

「ママがハニちゃんを可愛がっているのはわかっているけど、スンジョが、結婚を考えているお嬢さんというのは・・・・」

スチャンがそこまで言うと、グミは顔を手で覆って泣き崩れた。

「パパが倒れる前にスンジョがハニちゃんと結婚をしたいと言っていたの・・・・・だから、パパが退院したらお祝いを・・・・・」

泣いているグミの肩に手を当てるスチャンは辛かった。

親友の苦悩と妻の苦悩や、若い二人の事を何も知らないで、見舞いに来た親友の引っ越しを考え直すように言ったり、会社を任せた息子が間違った決断をしてしまったことに言葉が出なかった。

「ママ、ワシは仕事も大切だがそれよりも家族が一番大切だ。それなのに会社の管理も社員の家族ためにと一人で抱え込んだ。家族が大切だと言っているのにスンジョとユックリ話しもしたことがなかったな・・・・あの子は、無口だし何も心配しなくても間違った決断はしたことがなかったから・・・・」

病室のドアが静かに開いたのを不思議に思って見ると、悲しそうな顔をしたウンジョが入って来た。

「まぁ!ウンジョどうしたの?」

時計を見ると、小学校の下校時刻を過ぎていた。

「お見舞い・・・・・」

ひとりで病院に来た幼いウンジョを両親は暖かく迎えた。

「ママ・・・・助けて・・・・お兄ちゃんが・・・・間違った事をしてるんだ。それにハニは元気がないし毎日ご飯を食べないんだ。ママ、助けて・・・・」

幼いウンジョの悲痛な言葉に、スチャンもグミも自分たちがいない間に変わっている家の中の事を考えて不安を感じた。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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