あなたに逢いたくて 20
グミは、ウンジョと一緒に久しぶりの我が家に帰って来た。
ウンジョの話しでは、ハニはずっと具合が悪く寝込んでいることが多いと聞いていたが、きちんと家の中は片付けられていた。
ハニが、どんな気持ちでこの家の主婦であるグミの留守を守っていたのかを考えると、込み上げて来る気持ちをなんとか押さえる事が精一杯だった。
「ハニちゃん、入っていい?」
グミはそっとハニの部屋に入ると、フラフラとベッドから身体を起こしているハニのそばに駆け寄った。
「まぁ~わずか一週間の間に随分と痩せて・・・・・・」
抱き寄せたハニは、食事が食べられないために見た目にも判るほど痩せていた。
「おばさん・・・・」
「ごめんなさいね、ハニちゃんに家の事を任せっきりで・・・・・何か軽い物を作るわね。何が食べられるかしら・・・・」
「ありがとうございます。今朝パパがお粥を作ってくれたので、それを暖め直して食べようと思っています。」
我が家の嫁にと望んでいたハニ以外を迎え入れることは認めたくないグミは、その夢が夢で終わってしまう事に涙が出そうになって来た。
ハニの痩せた身体を労わるようにしていると、玄関のドアがキィ~ッと言った音を出して開く気配がきた。
「スンジョかしら・・・・ハニちゃん、おばさんさきに行くからユックリとダイニングに来てね。」
ハニは、グミの言葉に黙って会釈した。
グミが下に降りると丁度リビングに入って来たスンジョと目があった。
「あらっ!今日は随分と速いのね。何か用事でもあるのかしら?あるわよねぇ!結婚を考えていた女の子を病気にさせても平気な顔をして、お金をチラつかせていな人に逢うのよねぇ!」
スンジョは最後のグミの皮肉っぽい一言にムッとしながらも、何も言い返すことが出来なかった。
「何も言い返すことなんて出来ないのよね?出来るはずはないわよねぇ~。パパも知ってるわよ、ユン会長の孫娘さんとのお見合い・・・・・その事を聞きたいってパパが言ってたわ。幼いウンジョだってあなたが間違っていることが判っているわ。ハニちゃんを、悲しませないで。あんなに一途にスンジョの悪いところも、プラスにしてくれる女の子はいないのよ。お見合いの話しは考え直して・・・・」
「気に入ったんだ。気に入ったんだよ・・・オレの後ろばかり着いてくるんじゃなくて、結婚をするならオレと並んでいる女性(ひと)じゃないと・・・・・お金の為じゃない・・・・・・」
どこか空間を見るようにポツリと言った。
「まっ!何て事を・・・」
その時、ハニが二階から静かに降りて来た。
「おばさん・・・もう・・・いいですから・・・」
「ハニちゃん!」
久しぶりにハニの顔をまともに見た気がするスンジョは、ハニが痛々しい程にやつれているのにショックを受けた。
「ハニちゃん!ユックリ来てね。」
「スンジョ君、私・・気にしてないから。ただおじさんが、倒れたことに驚いただけだから・・・・・それとね・・・・私・・パパの田舎に行くの・・おばあちゃんの具合がよくなくて・・・だからおばさんが、私に気を使ってくれてもスンジョ君と結婚は出来ないから・・・・・」
そこまで言うとハニはまた吐き気が込み上げてきてトイレにかけ込んだ。
「ハニちゃん!」
「ハニ!」
ハニの様子に駆け付けようとするグミを押し退けて、スンジョはトイレに走って行った班の後を追った。
「ママ・・・・ハニが・・・・一週間あんなふうに何度もトイレに行くんだよ!助けてあげて!ママ!」
ウンジョがグミにそう言った直後に、スンジョが血相を変えてハニを抱き抱えて走ってきた。
「救急車を!」
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