スンスクの春恋(スンスク) 123
車のライトを切ってエンジンスイッチを切ると、家の前にいた人物が開いているガレージの前まで歩いて来た。
年数が経っても見覚えのある面影が残っているその人は、妻ミラのスンスクと結婚する前に婚約をしていた男だった。
「金持ちの年下の教え子と結婚をしてミラも幸せだったろう・・・・」
「どうして・・・」
「今頃?って言いたいのだろ?君の・・・教え子のホン・ミラ・・・オレの子供だ。」
複雑だった。
ミラからは生い立ちを聞いていたが、詳しくは聞いていない。
ミラの母親の恋人の兄・・・としか聞いていなかった。
「その顔はミラから聞いているみたいだな・・・・弟の彼女だったけど、いない時に家に来てオレを誘って来てさ・・・・結婚していたけど・・誘われたら断りきれないもんでね・・・・一回だけだと約束をしてしてやったんだよ。自分に負い目があるんだろうな、ミラが出来たら姿をくらまして・・・」
この人の言う事は信用が出来ない。
まだミラと婚約中だった時に別の女性と付き合っていて、ミラの病気を理由にその人と結婚をしたのだから。
「仕事があるので・・・・・」
「お前の妻になったミラと、オレの娘のホン・ミラ・・・・同姓同名だけじゃなくて、オレとのつながりがある人物で、オレたちけっこう縁があるのかもしれないな。」
この人とは会う事も無かったと思っていたのに、この場から早く去って欲しい。
「あなたと縁があると思われるかもしれませんが、あなたは自分の年齢を考えて、ご両親に心配を掛けないようになさったらどうですか?」
なぜ、こんな言葉を言ったのだろう。
人に言える立場ではないはずだ。
僕自身、ミラと結婚をしてから両親の助けがあってここまで来て、この年齢になっても2人の子供のために再婚をする事を拒んで、両親に迷惑を掛けていたのだから。
「なんだって?」
「あなたは仕事をしないで、親の財産だけで過ごしているのでしょう?僕の生徒のミラの父親だと言うのでしたら、ちゃんと子供の手本になるような事をしてください。過去の事を私に話して、どうしたいのですか?」
ガレージのシャッターをダウンするボタンをスンスクは押した。
シャッターの向こうでジフンが怒っている声が聞こえたが、そんな事を無視してスンスクはその場所から離れて行った。
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