スンスクの春恋(スンスク) 124
バタン・・・・
「お帰り、スンスク?どうしたの?」
「別に・・・・ただいま帰りました・・・」
スリッパラックから自分用のスリッパを玄関マットの上に置いて靴から履き替えた。
「ご飯は、食べる?」
「人と外で会ったので、食べて来ました。」
「セイラさんね?」
「お母さん、知っているのですか?」
リビングでテレビを見ているミレとフィマンがスンスクの方を振り向いた。
「知っているわよ。ソン教授のお嬢様でしょ?」
スンスクが女性と外でご飯を食べている事を聞いた事のないミレとフィマンは、祖母と父の話を黙って聞いていた。
「少し前に教授から電話が掛って、お父さんが書斎で話をしているわ。」
学校でミラとの事で話をしたスンスクは、ミレの視線が気になったが子供にその戸惑っている表情を見られたくない。
自分の心を偽る事は苦手でも、生徒のミラへの気持ちは悟られたくないし、さっき外にいたジフンの事は知られたくない。
特に母に知られてしまうと、何を仕出かすか判らない。
「お父さん、そう言えばこの間、お母さんの昔の知り合いで、お父さんも知っている人が家の前に来ていたわよ。」
「お母さんの知り合い?」
「この間の人?僕も見たよ。」
ミラの実家の両親が孫に会いに来る事はあっても、亡くなってから10年以上経っているから友人が訪ねてくる事も無い。
まさか・・・とは思ったが、母親の過去に付き合っていた男性の事を教える必要もないが、さっきジフンが家の前にいた事が気になる。
「誰だろう・・・」
「ミラのおじさんで、お母さんの気持ちが判るくらいの付き合いだって言っていた。」
やはりそうだ。
それが誰なのか、スンスクにはすぐに判ったが、ハニも今さらどうしてと言う気持ちだった。
「そ・・・そうか・・・お母さんの大学時代の友達だと思うよ。」
リビングでスンスクが話している声が、書斎で電話をしているスンジョに聞こえたのか、書斎のドアが開いた。
「スンスク・・・ちょっとこっちに・・」
呼ばれて書斎に入ると、電話の通話口を押さえて、それをスンスクに渡した。
「セイラさんのお父さんだ。」
判っていた。
今日仕組まれた感じの見合いの話をしたいのだろう。
「代わりました・・・・はい・・・・お・・・お願いします・・・・日曜日ですね・・・・はい・・・」
簡単な挨拶をして、受話器をスンジョに渡した。
そのままここから出たかったが、電話が終わればスンジョから今日の話を聞かれるだろうし、報告をしないといけない。
「それではお嬢様によろしくと伝えてください。」
スンジョは受話器を置くと、スンスクに椅子に腰かけさせて向かい合って座った。
「セイラさんもスンスクと会えて、話を進ませて欲しいと言っていた。さっきの話を聞いている感じでは、お前もいいのか?」
「はい・・・この縁談、進ませてもらってもいいですか?」
「お父さんは構わないけど・・・・スンスク・・・お前・・この間の女の子の事を好きなのじゃないか?」
心臓が張り裂けそうなほどに、父に気づかれていた事にスンスクは驚いた。
0コメント