スンスクの春恋(スンスク) 131
「今日はお父さん、セイラさんと食事の約束をしているから一緒に帰れないけど、なにか用があったの?」
「たいした用じゃないけど、お父さん・・・・ミラは見なかった?一緒に帰ろうと思ったけどいなくて・・」
「お母さんが退院する日だから病院に行くのじゃないかな?会わなかったけど・・・」
そうなんだ。
それなら良かったと思わないといけないかもしれない。
でも、謝らなければいけない事は分かっている。
「今日、帰りは遅くなるの?」
「遅くならないよ。明日も学校があるし、やらないといけない事があるから。」
セイラさんとお父さんが並んでいると、お似合いだとも思った。
大人なセイラさんは、薄化粧でお父さんのタイプの女性。
お父さんのタイプかも知れないけど、おじいちゃんもセイラさんならきっと再婚をさせたい女性と思っている知れない。
ミラもおばあちゃんに似ているけど、セイラさんはもっとおばあちゃんにも写真で見るお母さんにも似ている。
『ペク家の男子はおばあちゃん似の女性が好みなのよ』
グミおばあちゃんがそう言っていた事があった。
あのおじいちゃんとおばあちゃんの性格とは似ていないスンリおじさんの奥さんのソラさんは、おばあちゃんと正反対だけど、小さい頃からスンミおばさんが生まれるまでは、スンリおじさんはおばあちゃんにべったりの甘えん坊だと聞いた。
お父さんが、セイラさんを助手席に座らせようとエスコートしている姿が不器用でぎこちないけど、それはそれで一生懸命なお父さんがカッコ良く見えた。
お父さんはおじいちゃんと似ていて、本当の気持ちは口に出して言わないけれど、ミラとは別にセイラさんに対しても好感を持っている事が伝わって来た。
私はまだ恋もした事がないから、ミラがお父さんの事を好きだと言っても相談には乗ってあげられないけど、ずっといい友達ではいたい。
ミラが母親の退院で病院に行っているとスンスクから聞いたミレは、明日学校で謝ろうと思った。
だが、ミラは母親の退院の為にパラン大病院には行っていなかった。
家に帰って玄関のドアを開けると、祖父のスンジョと祖母のハニが慌てた様子で、どこかに電話を掛けていた。
「スンスク?セイラさんと一緒にいる所を悪いが、すぐにパラン大病院に行ってくれないか?お父さんもすぐに向かうから。」
携帯を持ったハニが、スンジョの後から玄関に入って来たミレに気がついた。
「ミレの友達のミラちゃんが、今日お母さんの病院に行くはずが来ていないって・・・一緒に学校から出て来なかったの?」
「・・・・・途中までは一緒だった・・・何があったの?」
「判らないけど、ミラちゃんのお母さんとお母さんの婚約者さんが待っていても来ないから、心配しているの・・・携帯に電話を掛けても繋がらないし・・・・」
ミラはお父さんの事本気で好きだったの?
でも、無理だよ。
生徒のミラと教師のお父さんが恋人になれるわけがないし、お父さんの立場が悪くなるだけじゃない。
でもどこに行ったの?
「ミレ・・・何か知っているの?」
ハニのその言葉にスンジョが靴を履いて振り返った。
「私・・・ミラに酷い事を言ったの。ミラ、お父さんの事が好き。お父さんもミラが好きかもしれないの・・・・・ミラのおじさんになる人と私のお母さんとの事を話して、絶対にそう言う人が親族にいる人とは私も嫌だし、おじいちゃんもおばあちゃんも反対するしいい気持ちはしないと言ったの。」
恵まれた家庭で育ったミレは、母一人子一人で育ったミラの孤独な気持ちを知らなかった。
スンスクの優しい性格を好きだと言う生徒は多い。
ただそれだけなら良かったが、パク・ジフンに会って母親のミラとの事を知ってから複雑な気持ちでもあった。
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