スンスクの春恋(スンスク) 132
玄関を出て行こうとするミレの腕を掴むと、厳しい顔をしてリビングに引っ張って行った。
「おばあちゃん・・・・・」
「何を知っているの?」
ミレの様子が気になったが、ハニに任せてパラン大病院に行かないといけない。
「ミレ、家でおばあちゃんと待っていて。君の友達はお父さんとおじいちゃんが見つけるから。」
青い顔をしてハニに腕を掴まれて立っているミレにそう言うと、スンジョは急いで玄関を出て行った。
「おじいちゃんもいないし、お父さんもいないから、おばあちゃんに話して。お父さんがミラちゃんの事が好きって・・・・・」
「好きかどうかはお父さんに聞いたわけじゃないけど、もしかしたらお父さんはミラの事が好きじゃないかって・・・そう思ったの。」
「その事だけじゃないでしょ?お父さんがミラちゃんの事を好きならセイラさんとお付き合いを始めないし・・・・それに、ミラちゃんは生徒だからお父さんが好きなのは教師としての想いじゃないの?」
「そうかもしれないけど・・・・おばあちゃんはミラのお母さんが結婚してその家に私のお母さんの元婚約者がいたら、それでももしお父さんがミラと付き合う様になったらどう思うの?」
「何の事?」
スンスクの妻ミラが、病気で婚約中だった男性に捨てられた事はミレとフィマンには話した事はなかったし、話す必要もないと思っていた。
「パク・ジフンさんって言うのよね?お母さんの元婚約者・・・・その人の弟がミラのお母さんと結婚する人なの。ミラに言ったの。そんな人と親戚の人になったら、私もおばあちゃんたちもきっと嫌がるって・・・・」
両親が結婚するまでにあった出来事は、子供には知らなくてもいい事。
それはハニの考えだが、スンジョもスンスクも同じ気持ちだと思う。
「子供がね、親の結婚前の恋愛の事を知ろうとしなくてもいいと思う。お母さんがお父さんと結婚した時の年齢は23歳と19歳。スンスクはが結婚をしたいと言った時は、家族全員が驚いたわ。おまけに治らない病気のそれも余命が決まっている女性でしょ?おじいちゃんと初めての喧嘩だった・・・いつも物静かで、親や周りに心配を掛けない大人しいスンスクが、あの時はとっても素敵だった。おばあちゃんが、お父さんが19歳で結婚する事を許してあげたの。」
あの時初めて母親らしい事をしたと、今でも思っていた。
結婚してスンジョの子供を沢山授かる事が出来ても、グミがいてくれたから、子供たちは幸せな結婚をしてくれた。
ただ、心の中で悔やまれるのは、7人の子供の中で結婚して早くに伴侶を亡くしたのが若い年齢で結婚をしたスンスクだけ。
出来れば子供が一人で物事を判断できるようになって来た今、自分の幸せのために再婚をして欲しい。
ただ、生徒と恋愛をしていると言う事が本当なら、ハニもそれには賛成が出来ない。
「人の気持ちはね、他人がどうのこうの言ってもどうしようもないの。まぁ・・・・子供が親の恋愛が気になるのも判るわ。スンリだっておばあちゃんとおじいちゃんとヘラの昔の事を調べたから。」
「何があったの?ヘラおばさんと・・・・」
「おじいちゃんの元婚約者・・・でもこれにはふかぁ~い事情があったからね。昔がどうであってもきちんと話が付いていたらそれでいいと思わないと。お母さんの元婚約者が親戚になるのはミラと関係はないもの。それがたとえ親だったにしても、子供には何の責任もないから。」
それでも、ミラが行方不明になるくらい父の事が好きなら認めないといけないのかと思った。
「スンスクがミラちゃんの事好きなのかな?って、おばあちゃんも思った事はあるわ。ホン・ミラって名前が同じなら、ミレのお母さんと少し顔が似ていたから。でもね、おじいちゃんと同じで自分の気持ちを表せなくても、スンスクがセイラさんとお付き合いを始めたのなら、ミラちゃんには特別な感情はないと思う。スンスクはおじいちゃんと本当に似ているから、その人の前で自然な笑顔でいるのなら、その人に対して心を開いているから。」
ハニの顔は穏やかだった。
スンスクがスンジョの後輩の娘とお見合いをした時、まだ恋愛をしてもおかしくない年齢だと思っていたから。
スンリのように何人もの女性と結婚をしても親しくする事が出来ないスンスクだから、スンスクがミラとの事も解決をするだろうと思っていた。
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